同人ソフトの優遇で業界全体の開発能力アップ
2004年11月4日:同人ソフトの優遇で業界全体の開発能力アップ | |
今日はいったい何の話を? | |
9月1日の続きだ。 | |
続きですか?確か、「ラグナロクバトルオンライン」のベータ版を取り上げましたが、話は終わっていたような気がします。 | |
実はまったく終わっていないのだよ。本来ならあの話題の翌日に取り上げることが重要だったのだが、東京ゲームショウも近くなり、いろいろと情報が出てきて取り上げることができなかった。そこで、今日、改めて話そうかと思うわけだ。 | |
つまり、今まで時間はあったのにサボっていたということですね。 | |
……。 | |
同人ソフトの優遇がどうとかありますが、いったいどういう意味でしょうか? | |
昨今、発売されるゲームが画一的で、面白みが欠けていると多くのゲームユーザーが感じていると思う。それもそのはずで、たいていの会社が昔からのクリエイター中心でゲームを作っているのだから、当然といえば当然だ。新しいクリエイター、つまり若い層には開発費の高騰などもあり、気軽に任せることもできず、結局のところ、同じクリエイターが安牌を切っていくしかなくなる。 | |
がんばって目新しいゲームを作っているところもあるのですけどね。 | |
あるにはあるが、そういったところはたいてい業績悪化傾向にあり、死に体になっているよな。 | |
ふむ。 | |
カプコンとか数年前のセガとか。 | |
一々言わなくていいですから。 | |
会社としてはリスクを負うわけにはいかない。しかし、このままでは若い開発者が育たず、先細り感が漂ってしまう。そこで、同人ソフトが出てくるわけだ。 | |
なんで同人ソフトが出てくるのでしょう? | |
安価で、且つ好きな物が作れ、さらには少人数でもできる同人ソフトは、ゲーム開発の練習として良いのではないかと、こう思うわけだ。 | |
そこまではわかりますが、優遇というのが良くわかりません。何を優遇すればいいのでしょうか? | |
そろそろ、ゲームメーカーも素材の利用などを積極的に許可してもいいのではと、ここ最近の同人ゲームを見て思った。経緯はどうあれ「ラグナロクバトルオンライン」も「新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN CYBER GRANDPRIX」も、共にメーカー側の承諾を得ているゲームだよな。後者は「新世紀サイバーフォーミュラ」を題材にしているゲームなのだが、サンライズが結果的に許諾を与える形で発売されている。 | |
このゲームに関しては開発しているPROJECT YNPのオフィシャルサイトを見ていただいた方がわかりやすいですね。画像も多数ありますが、どれを見ても同人ソフトとは思えない出来です。 | |
プレイしたことはないけど、デモ映像は見たが、よくもまあ、こんだけの物を作れたなぁ、というのが正直な感想。それくらいすばらしい。 | |
ええ。 | |
メーカーが自社に関連するキャラクター等の使用許諾を与えることで売上の何パーセントかをメーカー側が徴収することで、若干なりともメーカーとしても足しになるしな。フィギュア関連のシステムをイメージしてもらえればよいかと。 | |
でも、それはゲームメーカーの仕事というよりかは、著作物を多数持っている出版やアニメ関連のメーカーさんにお願いした方が良いのではないでしょうか? | |
出版会社やアニメ会社がゲーム作るわけじゃないからな。そこまで理解が得られるとは思えない。一方、ゲームメーカーなら理解してもらいやすいだろう。ゲームメーカーも魅力的な著作物を多数持っているしな。また、単にキャラクター物の著作物だけでなく、ゲームそのものも当然あるわけだから、そこから発展系などを作ることも可能だ。そして…。 | |
そして? | |
いいゲーム作った人は採用するとか。いわば登竜門的な意味合いにしてもよいだろう。自社で人材育成していくよりかは、既にゲーム製作にノウハウ持っている人を採用した方が有益と思う。特に、自らで何かを作り上げた人材は捨てがたい。また、全体の流れも把握できているだろうから、ディレクターの立場としての活躍も、入社してから学んだ人間よりも早期にできるだろうし。 | |
確かに、自らがんばった人であれば、いろいろと学んでいることも多そうですね。 | |
収益面を考えて若い層に挑戦させることができない現状を考えると、同人という場であっても自らで製作の多くを担当させることで、自らの考えている独創的な発想も出来るのではと、こう思うわけですな。かといって、本当に全てを自らで出来るわけもなく、そのあたりはゲームメーカー側がキャラクターなどの使用を許可することで、肝心のゲームコンテンツの製作に集中して良いものが出来るのではなかろうか。また、良い物が出来たのであれば、製作した人を採用なり契約するなどして、家庭用にさらに洗練されたものを作ってもらうなどの発展も可能だろうし。 | |
同人市場を実験の場として勉強してもらい、家庭用でさらに良いものを作ってもらおうということですね。 | |
まあ、そんな感じ。 | |
ですが、そういった流れはあまり起こりそうにないですよね。9月に来た投稿に次のようなものがあります。 『海外でクロノトリガーをリメイクする「Chrono Resurrection」というプロジェクトがあったのですが、スクエニからストップがかかって製作中止になったみたいです。公式HPにあるムービー見てみるとかなりの完成度だと思います。FF12とDQ8よりこっちを期待していた自分としては残念です。中止にするぐらいだったらスクエニが開発を引き継いでほしいぐらいです。』(投稿:ジェイジェイ) |
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一応開発していたサイトを紹介しておこう。ムービーやグラフィックなどが残されているので、これでどんな感じかチェックしてみるとよい。 | |
かなり開発が進んでいたようです。残念ですね。 | |
さすがにそのまんまを作るのはどうかと思うが、今後リメイクする意思とかがなく、権利関係も問題ないのであったのなら許諾しても面白かったかもしれないな。まあ、まず無理だけど。 | |
……。 | |
とにもかくにも、若いやつらに自ら作る機会を与えていく、その場として同人市場で積極的に動かすというのは有りと思う。そうすることで、先細り感も若干なりとも緩和できるかと。 |