日本ファルコム株主総会2010年

2010年12月21日：日本ファルコム株主総会2010年

日本ファルコムの株主総会が12月21日に行われたので紹介しよう。

過去にも『日本ファルコムの株主総会2009年』『日本ファルコムの株主総会2008年』『日本ファルコムの株主総会Part1』の3年分紹介しています。

では、さっそく開催概要から。場所は去年と変わらず。東京都立川市曙町2-40-15にあるパレスホテル立川の4階ローズルーム。開始時間は13時30分から。開始の段階では約55名ほど株主が来ていた。ちなみに、権利確定日の段階で4165名と、去年の4196名から少し減っている。しかし、来場した数は約35名から20名近くも増えている。

では、株主総会の内容を見ていきましょう。

13時30分にスタート。口頭で事業報告等を行い。本来なら、株主招集通知に書かれている内容を読むだけという会社も多いのだが、比較的いろいろな情報をプラスして話していた。なんでも、プレイステーションアワード2010で「英雄伝説零の軌跡」がユーザーチョイス賞を受賞したという話も。しかも、ソニーコンピュータエンタテインメントからの話によると、ユーザーが投票する時に記入欄もあったようなのだが、そのコメントが他のソフトと比べて熱がこもっていたという話もしていた。

それだけ、ユーザーが注目していたということですね。

また、この場所で「英雄伝説軌跡シリーズ」の最新作を日本ファルコム創業30周年記念ソフトとして開発しているという話も出てきた。すでに同日にプレスリリースが出ているけど、時間帯としては株主総会とほぼ同じ時間にリリースを出していると思われる。

ユーザー株主も多い会社ですので、これは訪れたユーザーも満足な対応ですね。

と、いろいろと話があり、それが20分間。そして13時50分から質疑応答となる。

昨年はまったく質問がなかったようですが、今年はどうだったのでしょうか？

質問があったよ。

おお、それはそれは。

いや、本当によかった。なんか、私のせいで去年は質問する人がいなかったという流れになっていたので。

......。

では、さっそく、いつも通り、私が回答者役を担当する。回答はほとんどが社長の近藤季洋が行った。一部財務関連は担当役員の阿部敬史が回答。

では早速行きましょう。一人目の質問です。マルチプラットフォーム展開についてどうなっているのか。PC向けソフトはどうなるのか、オンラインゲームの展開も。

マルチプラットフォームのソフトの制作は進んでいるが、マルチプラットフォームという事もあり、流通関係者への配慮や販売戦略もあり、具体的な進捗はこの状況では説明できない。

PCについては、PCでタイトルを展開していきたいとは社員も含め思っていると思うが、現在のPCの市場を考えると以前のようには収益が得られる目途が立っていない。余裕ができた段階でPCの方を考えていきたい。直近はPCタイトルの予定は現在ない。

オンラインゲームはライセンス提供という形で展開していく。「ツヴァイオンライン」を韓国の方と共同で制作を進めている。クローズドベータが今月行われている。プレイしてみたが内容はライセンス商品の中でもクオリティが高い。期待している。今後の予定はクローズドベータの結果を待ってから。連絡が入り次第お伝えしていく。

二人目の質問です。広告宣伝費について。前期よりかなり少なくなっているがその理由は。今後も広告宣伝費が抑えられるのか、利益はそれでも出せるのか。

前々期と比べて前期は少なめになっている。前々期は「イース7」の広告費が大きかった。また、「ブランディッシュ」「ツヴァイ」で大きく宣伝費を投下したが、それに見合った結果が出たかと見直すと認知はされたが、売り上げに結びついていたかというと広告量に見合っていなかった。前期はその点を踏まえ、的確なところに絞り込んだ広告展開を行っていた。今後はタイトル毎の方針にもよるが、的確で必要で費用対効果があれば投下するし、結果が出ないのであれば絞っていく。告知方法をどうすべきか、考えていく。

三人目の質問です。使用人の勤続年数が8年程度だが、新卒で入ったのがそれくらいの年数で辞めているのではと思われる。そうした辞めた人が外部に情報を流出するなどのリスクがあるかと思うが対策はどうなっているのか。

技術を持った人間が出ていけばリスクはあると思う。ただ、会社の都合だけで本人の意思を引きとめられないし、待遇面などで対応していき、そうならないようにしていく。

四人目の質問です。減損に関して今期3300万円、前期も2700万円出ているが、内訳はどうなっているのか。オンラインゲーム事業の具体的な回収額、どうやって特損額を導いたのか知りたい。ユーザーの品質要求が上がっているが、大手メーカーの品質の低下がみられる。特に最近のニュースで大手が大幅な業績下方修正、ユーザーの声を多いに無視した結果だと思うが、日本ファルコムは3年から5年程度の中長期的な目線で、どのようにしてユーザーの要求に答えらえるようにしたいのか。

減損の内訳はイースオンラインの減損となっている。内訳は日本版の減損が約3000万円、残り378万円が韓国版の減損の金額となっている。韓国の会社で開発して運営しているが、ライセンスした際に一部開発費を支出している。毎年償却してきたが、韓国版はサービスが終了しており、日本版も当初より売り上げの見込みが少なくなっているため、今後の見通しが良くない。この見通しを勘案し、減損処理した。韓国版はゼロで、日本版は850万円残額として残っている。これは今後の収益で回収できるとみている。

業界内でゲーム全体が細分化しており、スマートフォンや携帯アプリなど、ユーザーが広く薄く散らばっている。大手は50万や100万本売らないとプロジェクトを立てられない。このような市場状況で以前と同じような結果を求められるというところで破綻が生じていて、品質の劣化につながっていると思う。当社は大手と異なり、50万100万を目指していくのではなく、現状は日本のファルコムのタイトルを10万本から20万本に引き上げていくことが重要と思っている。

品質についてはユーザーチョイス賞をいただいたように、それを失ったらファルコムが無いと社内で一人一人が認識を持ってやっている。中長期的に見た場合、きちんと10万本20万本のタイトルを出していくという事をきちんとやっていく。それで満足ではなく、現状ビックタイトルが出る時も、大手のヒットしているゲームでも一番初めのタイトルで100万本売れるという事はなく、まずはじめに数十万本抑え、そこからチャンスをものにして規模を伸ばしていくという傾向がカプコンさんやレベルファイブさんであったりで見られる。

私たちとしては今の開発のクオリティや採用を増やすなどで対応していく。単に人を増やすのではなく、販売において、売上向上の余地があると思っている。そうした面で人材確保をしていきたい。

五人目の質問です。現在PSPで出しているタイトルはPCで出たものをPSPで出しているが、今後は始めたら出すにあたり、PSP版のおまけ要素などの追加は無くなるのか。デバッグはどうなるのか。開発環境の変化について。

コンシューマーはパッチが当てられないので、デバッグは厳密にやっていく。おまけはPSPやPS3にダウンロードコンテンツがある。今後、そのシステムを採用してはどうかとの話もある。質問をいただいたという事はそういう要望があるということなので、検討していく。

六人目の質問です。今期10期の売上や利益が減収減益予想となっているが、なぜか。

軌跡シリーズの最新作に人材を多く当てているため、今期のタイトル数が少なくなる。オンラインの収益も減るので、それも見積もった。

七人目の質問です。30周年記念作品についてもっと具体的に。

軌跡シリーズのゲーム内容については今の時点では詳細を言う事はできない。30周年記念としてゲーム以外の展開を考えている。記念のウェブサイトを立ち上げ、情報を発信していく。記念のグッズやイベントを予定している。アスキーメディアワークスさんやエンターブレインさんと一緒に30周年記念ができないかと検討している。今後IR等を通じてお知らせしていきたい。