ソーシャルゲームに関連するメーカーの株価が暴落、会社ごとの事情と共に紹介

2012年5月7日：ソーシャルゲームに関連するメーカーの株価が暴落、会社ごとの事情と共に紹介
	先日から報道されているソーシャルゲームのコンプガチャへの規制問題で、その後初の株式市場で大きな動きがあったようだね。
	やり玉の先鋒となっているDeNAとグリーはどちらもストップ安となりました。それぞれ20%もの下落です。その他、ゲームメーカーではコナミが17%以上の下落、続いてバンダイナムコホールディングスの9%、カプコンの6%、スクウェアエニックスやソニーの4%、任天堂やセガサミー、そしてコーエーテクモの3%下落となっています。
	どこも大変な下げ幅だね。
	やはり、コンプガチャ問題は大きな影響を与えているようです。
	これらの株価から、何がわかるのでしょうか？
	今回の株価の下落幅は、どれだけそのメーカーがソーシャルゲームに注力していたのかがわかるかと。その話をする前に、1つだけ。この大幅下落だが、ゲーム関連だけでなく、市場全体が大きく下がっている。日経平均も3%近くまで下がっているので、先に挙げた数字がそのままコンプガチャ問題によるものではないという点は注意。なので、3%程度しか下がっていないところは、あまり関係ない下落とみていいだろう。
	日経平均の大幅下落は主に欧州の政情不安によるものですね。それにより、ユーロ圏の経済状況が悪化するのでは、というお話です。
	欧州政情不安の影響もあり、為替でユーロが大幅に下落した。また、米国の景気状況もよくないということも伝わり。これも大きく影響している。で、先に挙げたメーカーのうち、任天堂とソニーはこの為替の影響が大きいため、それによる下落と見た方がいいだろう。
	任天堂はそもそも現在盛んな手法のソーシャルゲームに興味を持っていませんでしたので、影響があることは基本的にないですね。
	ソニーはPS Vitaでそういったビジネスをしたかったというのはあるだろうが、現時点で行っているわけではなく。会社もゲームだけが中心でもないので、今回の影響は乏しいとみていい。
	逆に、大きく下げたところはどうなのでしょうか？
	グリーやDeNAは言うまでもないよな。ギャンブルの胴元なんだし。現在はコンプガチャの仕組みのを問題視されているが、それ以外にも手が加わるのでは、という思惑も働き。無駄に拡大路線を行ってきたこともあり、今後縮小していく際に問題が出るのでは、という見方もある。特に野球チームを買ったDeNAなどは野球チームで単独黒字とかにならないと、お荷物すぎて目も当てられない。
	現在の社員の給料もかなり高いですね。それぞれ社員の平均年齢が30歳前半ですが、平均年収はグリーが743万円、DeNAが626万円です。
	こうした社員に掛かる経費も大きく問題になるだろう。今後収益が縮小していく中、どれだけ維持できるのか。維持できなくなった時、優秀な社員は去っていく。そうなったときに発展しつづけることができるのか、などね。会社としての志が低いだけに、つなぎとめる金がなければ人の面からも崩れ出すと落ちるのは早いだろう。
	他のメーカーはどうでしょうか？先の2社以外ではコナミが大きく落ち込んでいます。
	コナミはソーシャルゲームに頼りだしていたところだから。家庭用よりソーシャルゲームの方の売り上げが大きくなった時期もあるし。これは集計期間の影響もあるのだが、今後、家庭用ゲームを縮小させていく中で、益々ソーシャルゲームが発展していくはずだった。その矢先に、今回の規制話なので、他のゲームメーカーと比べて大きく落ち込むこととなった。
	続いてバンダイナムコですね。バンダイナムコはおもちゃなどが順調というイメージがありますが、こちらもソーシャルゲームが影響していますか？
	ニュースを伝える報道で、バンダイナムコの商品の画像を用いて報じられたというのが一つ痛いところかと。
	「アイドルマスターシンデレラガールズ」の画像ですね。
	よくわからん槍玉の上げられ方だが。
	バンダイナムコも大きく影響しますか？
	あまり詳しい数字はわからんが、たしか2011年4月から12月までで130億円程度の売り上げだった。仮に利益を50億円と計算して、それがすべてなくなったと仮定すると15%くらいの減益になる。ただ、全部がコンプガチャの利益というわけでもないので、これが全部なくなるとは思えず。もし、全部なくなって株価も15%落ちると考えれば、単純計算で株価は1000円近くになるのかな、とか思ったりはしたが。
	5月7日の終値は1030円ですね。
	株式市場は正直なものですな。
	......。
	バンダイナムコに関して言うと、2014年までの中期計画で営業利益を425億円目指すとなっているのだが、この実現のためにはソーシャルゲームの荒稼ぎも含まれているのではと思われる。そうなると、達成が厳しくなると予想できる。どれだけリスクを入れて考えていたのか、今後の発表などを通じて読み解いていく必要がある。
	カプコンも大きく下げましたね。
	カプコンもソーシャルゲームで名を上げていたから。ただ、カプコンの場合はどちらかというと、日本より海外向けの印象が強く。海外ではコンプガチャのような仕組みは行えないので、そもそもコンプガチャの影響は限定的ではないかと。
	「スマーフビレッジ」などがダウンロード数が1500万突破というお話が過去にありました。
	現状どうなのかは知らないが。ただ、直近では日本向けのコンテンツも展開しだした矢先なので、出鼻をくじかれたという印象はある。会社全体の今期の業績を結構大きめに見ているようだけど、ソーシャルゲームがどの程度と見込んでいて、影響を及ぼすのかに注目したい。
	これくらいでしょうか？
	他の会社も多かれ少なかれソーシャルゲームを出しているけど、規模が限定的だったりするし、コンプガチャを取り入れていないところもあるだろうから、あまり神経質になる必要はない。どうも、ソーシャルゲームそのものが規制されるというイメージが強いけど、あくまで特定の商売方法のみの話なので。以前からまともな商売をしているところなんかは、あまり気にならない。
	それはそれは。
	ただ...。
	やっぱり何かあるのですね...。
	これはアニメ業界のパチンコ業界との付き合いと同様なのだが、ソーシャルゲームで稼げるから家庭用ゲームである程度の冒険が出来る、という流れもあるわけで。ソーシャルゲームで稼げないからとなった時に、家庭用の方を削っていく可能性もあるわけだ。ソーシャルゲームが駄目になる、だから家庭用ゲームが復権するということは無いと考えるべきだ。
	そうですか...。
	こうした中、上場来安値を見事に突破したソニーに敬意を表しつつ、今日の話は終えたいと思う。
	......。