次世代ゲーム機で北米のゲームビジネスが壊滅する

ソニーが次世代ゲーム機を発表するのでは、という話が出て以降、次世代ゲーム機に関する注目が集まっている。

北米時間の2月20日に何かしらの発表があるようですね。その発表が次世代ゲーム機に関してではないかと言われています。すでにマイクロソフトは今年後半あたりを目途に発売するのでは、とも言われています。

ただ、この次世代ゲーム機の発売によって、場合によっては北米のゲーム市場というのが壊滅的な状況に追い込まれるのでは、と。こう思っているわけだ。

なんで発売前からそんなこと言うんですか...。新しいものが出るのですから、当然売れるに決まっているじゃないですか。

まったく売れないとは思わないが、その売れ行き、売れ方、ゲームの作り方によっては、壊滅的な状況になりうる。

それはなぜでしょうか？

単純に画像面のクオリティが上がり、またゲームの内容なども突き詰めていこうとすると、開発費が高騰する。しかし、その高騰した開発費を賄えるだけの市場が次世代ゲーム機でできるのか、という問題がある。

期間を長く見るのであれば、いつかは十分な普及が望め、商売として成り立つレベルになるかもしれないが、発売してしばらくの間は厳しいことが予想される。

その序盤に、北米での販売を中心としたソフトメーカーがどういう動きを示すのか。この動き次第によっては、ゲーム市場そのものが壊滅的になる可能性もあると。

ちなみに、このような出来事は過去にも例があり。

いったいどういった例が？

プレイステーション2が発売したときの日本のソフトメーカーが同じような状況に陥った。2000年前半に多くのソフトメーカーが赤字を出した。

そしてその後、どうなったかは皆さんがご存知の通りだ。

ソフトメーカーの合併などが多くなりましたね。

いや、もっとわかりやすいことがあるだろう。

みんなが知っていることでわかりやすいこととは？

ゲームのクオリティが落ちた、ということ。

それは一概には...。

これらの話はすでに2012年11月17日『今の海外ゲーム業界は日本の後追いにしかすぎない』でも述べたが、その動きが顕著に出てくるのが次世代ゲーム機が発売された後の1年から2年くらいになると思われる。

流れとしては、次世代ゲーム機が発売され、それに向けて開発を行っていたソフトメーカーがソフトを出す。

しかし、次世代ゲーム機の普及などの影響でソフトが売れず、開発メーカーの解散や大幅な赤字になるなどの状況が生まれてくる。

そうした傷ついた状態が起こる。これが北米で起こりうる次世代ゲーム機での崩壊だ。

ですが、それは売れないことを想定してのことですよね？売れれば大丈夫ですよ。

売れないんだよ。少なくとも当初は。これは当たり前の話で、最初から数千万台の本体が普及するわけないんだから。本体保有者は限られ、そうした中での競争を強いられる。しかし、ゲームビジネスとしては、クオリティのアップが必須となっているため、開発費だけは上昇する。その上昇を賄えるだけの収益は序盤では得ることが出来ない。

そうなると、最後は体力勝負。体力があれば、赤字がかさんでも生き残りつづけ、崩壊した市場で後々花を開かせることもできるが、崩壊後まで生き残れないところも多々出てくる。また、生き残ったところも安全性を考え、無難なものしか発売しなくなる。徐々に停滞していき、優秀な人は見切りをつけて別の分野に移行し、最終的には日本でも起きているようにクオリティの低いゲームが増えていく。

今回の話は北米市場を中心とした話ですよね。日本のメーカーなどはどうなのでしょうか？

日本のメーカーは金かけてまともなゲームを作るようなところは皆無だから、そんな心配はいらない。

ひどい...。

冗談抜きでそんなもんだよ。

PS2で懲りているので、リスクを取る形で何かをやろうというところは限定される。また、やるとしても、ソフトのリリース数はかなり絞ってくる。すでに利益の出しやすいSNSゲームに注力していることからも、収益に対するバランス感覚は十分ついている。

その分、ゲームの質は低いが。

余計な一言を付け加えないでください！！

と、いうような流れで、次世代ゲーム機発売後の2年くらいで北米のゲーム市場のあり方が変わってくる可能性がある。

もっとも、これらは正統なクオリティアップを前提とした話だ。例えば次世代Xboxであれば、キネクト(Kinect)を用いた見た目の質の低いソフトも出てくるだろう。こうしたものとのバランスをうまくソフトメーカーが取っていけば、大きな痛手を受けることもないかと。

北米ではパソコン向けのソフトも売れるので、そちらでリスクを軽減させることもできるしね。逆に、クオリティの高い作品をキネクト(Kinect)などで作ると、パソコンで発売することもできずにダメージを受けるという。

次世代プレイステーションはどうですか？クラウドゲームが話題になりそうですが。

クラウドゲームって...。

ちょっと！！

クラウドゲームについては別の機会に触れたいので、また後日で。

今は全世界的に新しいゲーム機に金を向けることが出来ない層が増えているので、本来ゲーム機を買ってくれそうな人が買える状況にないというのも大きな問題となりそうだが。

その反面、まだまだXbox360やPS3の市場が並列して生き残りつづけることが出来れば、そちらで安定収入を得つつ次世代機で試すという流れもありだろう。あとは、ソフトメーカーのバランス感覚次第ですな。