東京ゲームショウ2015 基調講演第1部、レベルファイブの日野晃博氏の帝王判断

今日は東京ゲームショウ2015の開催日だね。

9月17日、18日は業者日、19日、20日は一般公開日となっています。

行ってきてどうでしたか?

まったくゲームをせずに帰ってきてしまった・・・。

何しに行ったんですか・・・。

今回、基調講演のテーマが面白いものだったので、そちらでずっと座ってた。

2部構成なのだが、まずは第1部の話を取り上げていこうと思う。

第1部はレベルファイブの社長の日野晃博さんのお話しですね。

テーマは「クリエイター兼経営者だからこそできた ヒットコンテンツ創出」です。

一部の話は、たぶん、この講演以前にメディアなどで買っていた内容と重複すると思う。

なので、この話は知っている、という人もいるだろう。

ここでは、ざっくりと話した内容を取り上げ、それに対する考えのようなものを述べていこうと思う。

まず、最近のレベルファイブの状況について説明、妖怪ウォッチが2014年度の市場規模2200億円以上だったという話、過去発売41タイトルの1タイトル平均売上本数が93万6千本以上、ということから述べていた。

自慢話みたいですね。

そして、そのあとに、今回のテーマである、クリエイターでもあり、経営者でもあるから成し遂げてきた制作状況について話があった。

日野晃博氏はゲームクリエイターでもありながら、レベルファイブの社長という立場にいる。

クリエイター側と経営側は、相反する場合が多いのだが、なぜ、そうした中でレベルファイブが成功したのか、ということから話しており。

レベルファイブの特徴は、経営陣とクリエイティブ陣の視点が全く同じであるということであった。

日野晃博氏自身が、メインプログラマーであり、メインプランナーでもあり、ディレクターやプロデューサーも経験。そして、絵もそれなりに描け、ゲーム会社の社長にもなった。

これにより、経営とクリエイティブの両面が1つになった。

そしてそれは、強引なワンマン判断が可能とも言える。

ワンマンな判断を「帝王判断」と自ら名づけ、今回のさまざまな例を挙げていくこととなる。

皇帝判断ですか・・・。

中学生の発想のような・・・。

そういうことは言わないの。

なお、どくろマークにフード姿の怪しげな絵がモニターに登場し、不気味な笑い声もBGMとして流れていた。

ちなみに、何度も同じようなものを出したため、途中にこれくらいで音声を切るべきでしたね、というツッコミを自身で入れていた。

あと、気づいた人は気づいただろうが、オデコあたりに、これから述べる各種タイトルのモチーフとなる絵が付け加えられていた。

そして、具体例を挙げて帝王判断について取り上げていくわけですね。

最初は「レイトン教授」の帝王判断から。

任天堂が脳トレをヒットさせた後、脳トレにプラス1をした程度のものを手掛けようと思ったそうな。

しかし、当時のPS2などの家庭用ゲーム機でみんなゲームを作りたかったようで、一緒に作ってくれる人がいなかったようだ。やっぱり、PS2などで作りたいよね、とクリエイターたちは考えていたから。

でも、そうしたプロジェクトをスタートさせたのが皇帝判断の一つ。

2つ目は、低コストであるにも関わらず最重要プロジェクトとして取り扱ったこと。

この「レイトン教授」が、レベルファイブの名前で発売した最初のソフトなのだが、だからこそ、最重要なのだろう。

製作費は1.5億円、宣伝費は序盤までは1.5億円、その後追加して最終的に宣伝費は2.3億円だったとのこと。

製作費を見ると、決して大作の金額ではないのだが、それでも重要視したゲームだったようで。

3つ目は過去の慣習にとらわれない判断、純粋なユーザー視点を持つということ。

4つ目は、本来であれば頭の体操のタイトルで出す予定が、名称の権利の問題で1年がかかるため、「レイトン教授」に変更。ゲームも、ストーリー性を持たせたものへ変えた。

こうした路線変更への即決即断も、帝王判断だったとのこと。

ちなみに、声を担当する俳優等に関しても、自身の好みによると述べていた。

次は「イナズマイレブン」における帝王判断です。

「イナズマイレブン」では、アニメや他のメディアクリエイティブへの介入を行った。

出資者でもあり、原作者としての強みが帝王判断の一つ。

アニメであれば、アニメ会社が好きに作るのが一般的だが、ゲームの原作者として、積極的にアニメサイドへのアプローチを行い、納得してもらうように心がけた。

2つ目は強力な他社との連携の始まり。クリエイターと経営者の両面でつながりを持てたとのこと。

単に作り手として相手の会社のスタッフと接するだけでなく、社長でもあるので、相手の社長とも接点を持つなどした。そして、相手の社長と、相手のスタッフとの仲を持つようなこともしたそうな。

次は「二ノ国」における帝王判断です。

スタジオジブリと交渉するにあたり、その場で即断即決をしていくのが1つ。

事前にいろいろなことを想定し、自らで交渉する中で話をまとめていったとのこと。

これができるのもクリエイターでもあり、経営者でもある強み。

2つ目は、事前に予算や期間を明確にしないでプロジェクトを進めた点。

普通の会社であれば、事前にいくら使ってどれくらいの期間で作るかを決めるものの、責任は自分でとれるので、そういったことを考慮せずに動いていったようだ。

なお、「二ノ国」自体は、序盤は厳しかったようだが、利益が出ていると述べていた。

最後に「妖怪ウォッチ」です。

1つは会社を越えた総合プロデューサーとして、コンセプトの見張り番の立場に結果としてなったこと。

過去にいろいろな会社との付き合いもあって、こうなったのではないかということだった。

そして、アニメフォーマットへの介入。内容だけでなく、番組構成への新提案も行った。

番組スタッフの選定、ストーリーものではなくオムニバス仕様、シリーズ内シリーズ、エンディングでのCGによるダンス、そして、当初は子供向けに作っていたものの、途中から家族向けとしても楽しめるように設定を行ったりしている。

ここで、ムービーが流され、ネス湖の話や、クマのぬいぐるみが最後に首が飛んで終わるという話を放送。

このクマの首に関しては、見ていた全国の子供が泣いたとか、テレビ局からもこうしたものは今後控えてほしいといわれたというエピソードも紹介。

と、以上のように、個別タイトルの成功をもとに、解説を行っていた。

このようにして見てきましたが、帝王判断とは何なのでしょうか?

まとめとしては、経営とクリエイティブの両案件に対して全責任を持って行える判断、としている。

こうしたことから、周りからは「日野は危ないやつだ」と思われるかもしれないが、そんなことはないと自己弁護。

本人も、これからもこうした帝王判断でずっと戦っていけるとは思っていないと述べている。

ただ、これらの経験による教訓があるとし、まとめに入った。

ここからはスライドの文字をそのまま取り上げます。

『経営者とクリエイターが深く理解し合い、総合的な視野において判断できることが成功につながる

経営者へのアドバイス:クリエイターを過保護にするな

クリエイターへのアドバイス:理解してもらう努力を怠るな

ゲーム業界、エンターテイメント業界の全ての経営者と全てのクリエイターに告ぐ:なかよくしなさい!』

と、いう形で終えている。

今回の帝王判断の話は、極端な話、日野晃博氏のような立場の人でないと、成り立ちようがないというのは当人もわかっていたのだろう。

その話だけをしても基調講演を聞いている人にとってはなんら意味のないことなので、最後のように一般的にも使えそうな話としてまとめ、終わったのだと思う。

自身の体験を一般化したのですね。

最後のまとめの部分もそうなのだが、言わんとすることは、しっかりコミュニケーションをとりなさい、ということだと思う。

経営者側からしてもそうだし、クリエイター側からもしてもそうだし、また、別業種の人に対してもそうだし。

うまくコミュニケーションが取れていなかったために、人材が外に出ていく事例がゲーム業界に多かったので、案外そのあたりを見た上での発言のように受け止めることもできる。

いずれにしろ、参考になる部分は少ないものの、一考すべき点は多々ある。

そのような基調講演でした。

多くのゲームメーカーの経営者に聞かせたいですね。

ちなみに、私がパッと見た限りでは、いつも通り、コーエーテクモも襟川夫婦が居たほか、カプコンの辻本社長、そして、KADOKAWAの会長の角川歴彦氏が居て、ちょっと驚いた。

先の2名はまだわかるけど、角川歴彦氏が基調講演を見に来るとは。

この方、70歳を超えて年配ではあるが、頭が若いというか、そういう印象を以前から持っていたのだが、こうした場に来るのを見ても、ただただ関心するばかり。

人違いだったらすみません。

それだけ日野晃博さんの話に興味があったのでしょうね。

と、いうことで、基調講演第1部の話を終える。

直近、直後の話題

1つ過去の話題:スターオーシャン5、ドラゴンクエストビルダーズなど、発表会での紹介のPS4タイトルの予約スタート
1つ新しい話題:東京ゲームショウ2015でプレイしたゲームの雑感、スターウォーズ バトルフロンティア、スターオーシャン5など

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クリエイターと経営者の関係…
KONAMIと小島秀夫の関係を思い出しました…

投稿者 : 匿名

1本あたり93万6千本以上っ世界としてもすごいなあ、任天堂より上なんじゃなかろうか。
きっとサードに強いらしいPSがメインなんでしょうね、やっぱすごいなPS、1本あたりの売上げが違いすぎる。

投稿者 : 匿名

今度はタカラトミーとタッグを組んで「スナックワールド」というゲームを出すそうです

投稿者 : 匿名

日野氏の手腕ではなく何故かハードを絶賛する生き物の分かり易さときたら…

投稿者 : 匿名

日野さんの経営者的な手腕については間違いないのだとは思う。
ただ、ガンダムAGEとかの顛末みてると脚本家としてはあんまり
才能ないのかなとは思う。ここで言ってるような両者の視点を持ってることは
良いことだと思うけど。

投稿者 : 匿名

ガンダムだけは帝王判断でもどうにもならなかったみたいですね
しくじり先生じゃないが、失敗談も聞いてみたいもんです

投稿者 : 匿名

>2015年9月17日 19:45

それ、レイトン教授や妖怪ウォッチの様な任天堂ハードで出したゲームの売上がかなり貢献してると思うよ
PSで出したゲームは白騎士物語とかダンボール戦機とか、あまり振るわなかったタイトルの方が多いしw

投稿者 : 匿名

ベセスダやブリザードの方が平均本数多そう

投稿者 : 匿名

ガンダムAGEの方は最近再評価されてるかも、スパロボBXね

投稿者 : 匿名

レベルファイブの日野社長のカンは冴えまくってるね
ところでなぜ任天堂でレベルファイブやカプコンやドラクエのソフトは爆売れするのに、他の会社は最近任天堂でなかなかソフトを作らないんだろう?
2画面で開発しづらいから?一部のソフトしか売れないから?マルチしづらいから?みんなPSに持っていかれてるから?性能が低くて開発者のモチベーションが上がらないから?NXに注力…はないか、まだ発表もしてないし
もっと任天堂ハードで色んなメーカーのソフトがしたいなぁ

投稿者 : 匿名

確かに日野さんは経営者とクリエーターのバランスが取れてますね。
なんか坂口さん時代のスクウェアと和田時代のスクエニに聞かせたかったですね。

投稿者 : 匿名