2019年7月26日に任天堂より発売された「ファイアーエムブレム 風花雪月」の評価レビューです。
すでに動画では述べているのですが、文章でも動画で語ったこと以外についても残しておこうと思います。
ただただ丁寧に作られた良作
プレイして思ったことは、作りが丁寧ということ。
多少の不満点があるものの、システム面でもいろいろと考えられており、通常プレイする上でのストレスが少ない点が挙げられます。
この手のゲーム、ストーリーが良くてもゲーム性が良くても、ユーザーインターフェイスの部分で大きなマイナスになり、プレイに支障をきたすことも多いのですが、今作は多くの部分で対応がされているため、プレイした触り心地に対する不快感が乏しく。
このため、プレイしていてもスムーズにゲームに入っていくことが出来ます。
この点の丁寧さが多くのゲームに欠けていたりするのですが、さすがは任天堂から発売されるからか、金と時間をかけて丁寧に作ってきたと思えます。
ゲーム性は基本的に変わらない
ゲーム性に関してはシミュレーションパートは過去のシリーズから大きく逸脱する部分はなく、過去作を楽しんでいれば違和感なく遊ぶことが可能です。
ゲーム中の描写もさまざまなパターンが用意されており、近くでキャラクターを動かしながら遊んだり、遠方から全体を眺めて操作したりと、プレイ方法によって変えることが可能です。
可能であるならば、一番引いた画面での描写をもっと見やすくして昔ながらのような形になり、なおかつそこでの操作も昔ながらであれば、などと思ったりしますが、そこまでは欲張りすぎでしょうか。
アドベンチャーパートとでも呼ぶのか、学園の敷地内の行動は賛否が分かれそうですが、こういうものだと考えるしかないでしょう。
昔と同じでなければいけない、というルールはないですから。
一応スキップも可能ですし。
とはいえ、スキップだとキャラクター育成面で不十分に終わることが多いので、初期プレイだとせざるを得ないという状況になります。
おかしなゲーム性をゲーム内容と絡めて解決したターン戻し
このゲーム、敵にやられても一定回数は巻き戻ってプレイすることが出来る、という仕組みがあります。
単にそういった仕組みを導入するだけではなく、その仕組みをゲームの内容に絡めて登場させたところに一定の意味があります。
システム的になりすぎず、という配慮。
そもそも、このシリーズ、運に左右される部分も多く、その筆頭がクリティカルの仕組みですが、それ以外にも急な増援や、こまごまとしたスキルやゲーム上の仕組みなどによって、意図せぬ倒され方をすることも多々あります。
仮にそうならないためのプレイをしようと思っても、無駄に確認作業が増えるだけで、それが面白みにはつながらない。
敵の状況をしっかりと見定めて、自分のキャラを動かしてという遊び方をするのであれば、それこそ1作目などのシンプルな内容でないと成り立たないくらい、複雑になっています。
そうしたさまざまなゲーム的に歪な状態を、ターンを巻き戻す、という仕組みを入れたことで大幅に改善できています。
ターンを戻す、ということ自体は他のゲームでもあるでしょうが、ゲーム内容と絡めたという点を評価したいものです。
ちなみに、今作は敵が増援として表れた際には、そのターンに動かない、ということがあるのですが、すべての敵にそのルールが適用されておらず、出現してすぐに動く敵が居たりと、この辺りはどういった意図があるのか不明です。
出現ターンに動かなければ評価しようと思っていたのですが・・・。
キャラクターが長々としゃべるのが辛い
以前、キャラクターがしゃべるときに単発ワードだけ発して、あとは文章を読む形式が良い、というような話をしたのだが、今回は全部の文章を読み上げる形式になっていて、それを聞くのがただただ辛い。
もちろん、全部スキップでもいいのだけど。
で、もし、全部聞いていたら、という過程で考えるのだが、これ、そんなことをやっていたらいったいクリアまでに何時間かかるの?という疑問が湧く。
ゲームを買っている人は、ひとまずの結末、つまりはクリアを目指すと思うのだが、そこに至るまでに時間がかかりすぎやしないか。
やりたくても人の時間には限りがあるのだが、その限りある時間の多くが無為に声優がだらだらしゃべっているのを聞く時間に費やして、ゲーム体験として面白いのか、という疑問が湧く。
だからこそ、昔に単発ワードと共に文章が表示されていたことを評価したのだが、今回は全部読み上げになっており。
昔は単に容量の問題だっただろうから、そうした縛りの中での要素だったとも思うが、ゲームとしては昔の形式の方が優れていたように思う。
もちろん、アニメ好きにとっては、今回の形式の方が喜ばれるかもしれないけどね。
でも、クリアするまでできる時間のある人はどれくらいいるの?という疑問は常にセットとなる。
余談だが、確か昔に「ファイアーエムブレム 覚醒」の際に単発ワードを声で発することを評価した話をしたと思うだが、いつ行ったかが思い出せず。
別のゲームだったっけかな?
アニメーションのクオリティが高い
無駄にアニメーションのクオリティが高くて好印象。
こういったところにもちゃんとお金をかけるのか、とただただ感心です。
ボリュームありすぎ問題
先のキャラクターの声の問題とセットとなるのが、ボリュームありすぎという問題。
ボリュームがあるということが良いことのように思う人もいるだろうが、結局はクリアに達するまでの時間がかかりすぎて、途中でプレイを止めてしまう人が出てくる可能性が増すということになりかねない。
単に1つの勢力のクリアですら時間がかかりすぎる中、複数の勢力でもできるために、ちょっとボリュームがありすぎないかと思ったりする。
一見ありがたいように見えて、クリア体験できない人を増やしてしまわないかという危惧がある。
どれくらいの時間を想定したゲームなのかは気になる。
ダウンロードコンテンツの説明が足りない
ゲームの長さと絡む話ですが、ダウンロードコンテンツに関して。
発売されて、ある程度の情報は公開されていますが、肝心ともいえる情報が足りていないように思えます。
たぶんメインとなるのは2020年4月30日までに配信される「追加のサイドストーリー」なのでしょうが、これはどういった状況でプレイできるか、などが不明です。
例えば、最初からプレイしないといけないのか、それともクリア済みのデータで引き続きプレイできるのか、など。
本編とは別のストーリーではあるものの、そのためのセーブデータ等はどうなるのか、情報が欲しいところ。
これは先に述べたように、一回のプレイ時間が長いことから、やり直しであるならば、また無駄に時間をかけざるを得なくなる、という懸念から。
また、セーブデータの数が5つまでと少ないため、気軽にさまざまな勢力のデータを残しておけない、という問題とも絡みます。
他の「フリー戦闘マップ」や「追加クエスト」に関してはある程度の理解はできますが、それでも説明があった方が良いかと。
どのあたりのタイミングで出来るのかなど。序盤からなのか、中盤以降なのか。
とっととクリアした人が追加コンテンツを買う際に、どういうデータを持っておけばいいかの参考になる情報があってもよいかと。
今後のアップデートの有無は?
ダウンロードコンテンツとは別ですが、アップデートとかはあるのだろうか。
完成されているゲームではあるので、あまり直すような場所もないのだが、個人的に思ったのは次の2点。
- アイテムを取得したときの輸送隊に送ると捨てるの見わけが付きにくい
- アドベンチャーパートでのマップからの移動の指定が難しいことへの対応
逆に言うと、目立って気になった点はこの2点。
修正されればと思うが如何に。
そして、そういった対応をするのかどうかも注目したい。
いかんせん、他社にゲームを作らせると、アップデートが入りにくい傾向があるため、そのあたりのフットワークの良し悪しも気になるところ。
結論
のんびり遊べるような人ならプレイしてみるのもよいのでは。
特にアニメ好きな学生なら、時間もあるだろうし、十二分に堪能できるでしょう。
ただ、その行きつく先がギャンブルガチャと考えると、薦めていいのかどうかは迷うところ。
ギャンブルガチャの資金がこちらに来たと考えるべきか、ギャンブルガチャへの誘導のための施策と考えるべきか・・・。
ダウンロードコンテンツに登場するキャラクターも、ギャンブルガチャ系からのキャラクターだったりしたらと思うと・・・。
もう、ダウンロードコンテンツを買ってしまったので遅いですが、もうちょっと待てばよかったかな?
答えは2020年4月30日か!?