大塚家具がヤマダ電機の傘下になるという話が伝わっています。
ここでは、一度まとめとして、なぜ大塚家具がだめになっていったのかを取り上げます。
また、よく言われているニトリやイケアのような低価格路線に行ったから、ということが嘘であることも伝えていきます。
なぜ創業者ではなく娘が社長になれたのか
一時期話題となった親子間での経営権取得競争。
普通に考えれば、今までかじ取りをしていた創業者である親が経営権を維持できてしかるべきでしたが、娘が経営権を取りました。
メディア等では触れているのを見ていませんが、この経営権をとれた理由は、配当の確約があったから、と思われます。
大株主に対して娘が配当額を確約したことで、賛成に回ったのでしょう。
決して、どちらかの経営能力が、とか、今後の手法が、とかではありません。
それを如実に表したのが、赤字決算となっても配当額を落とさなかったことがありました。
まず、以前までの40円の配当を倍額にしました。
そして、翌年度は赤字決算であるにも関わらず、その倍額の80円を維持。
さらに翌年、さらに業績が悪化しているにも関わらず、40円の配当。
普通の経営感覚からすれば、最初の倍額も違和感があるだけでなく、赤字が続いても配当をし続けたことに疑問が生じます。
もともと、内部留保が多かった企業であったことから、株主に配当を増やすから、という話を持ち掛けたのでしょう。
当然、大株主側が内部留保を吐き出すことを望んでいますので、結果として娘側が経営権を取得できたわけです。
低価格路線の嘘、メディアに騙され続けた一般人
続いて、低価格路線になり、ニトリやイケアと同じ土俵になる、という話もありましたが、実際にはそんな話は一切ありません。
メディアがそのような取り上げ方をした関係で、多くの人が騙されたままです。
たいていは利用したことのない人ですが、ネット上などのSNSなどを見ると、低価格路線になったからダメになった、という話をしている人も多くて頭が痛いところです。
この低価格化ではない、という話は、親子闘争が話題になった際にテレビで娘社長が明確に否定しています。
ですが、それでも低価格化だとか、ニトリやイケアと競合する、という話に持っていきたいのか、人の話をまったく聞かない人によって捏造され続け・・・。
では、いったい親子で何が異なった経営方針だったかといえば、単に入りやすい店舗にするかどうかの違いです。
創業者の親は会員制サービス、娘はフリー入場でスタッフも特につけない、という程度の違いです。
中価格帯を充実する、という話もありましたが、この点に関しては昔との比較ができないため、実際にどう変化したかは不明です。
高い家具も今現在も置いてあります。
昔と今の大塚家具の接客の違い
昔の大塚家具は、会員制で、入店すると記入などを求められ、そしてスタッフがついて商品について説明しつつ買い物をする仕組みでした。
今の大塚家具は、入場すること自体自由で、好きに商品を見ることができます。スタッフをつけてもらおうとすれば可能ですが、いちいちスタッフをつけて欲しいといわなければいけません。
もちろん、そこら辺にうろついているスタッフから説明等をしてもらってもよいのですが。
一見、今のほうが来場者に良いように思うかもしれませんが、実際には商品数が多くてちょっと訪れて商品を買おうとしても、選ぶことが不可能です。
売り場に商品が多いだけでなく、場合によっては置いてある場所が異なっていたりしますから。
だからこそ、スタッフがついて、あれが欲しい、こういったものは何か、などと尋ね、スタッフがそれならば、ということで商品を紹介してくれたほうが買いやすいでしょう。
新宿や銀座レベルの店舗なら、まだ個人で見て回ることもできますが、東京ビッグサイトの近くにある店舗は商品数が多くて選べないでしょう。
ABテストもせずに見切り発車
来店しやすいようにする、という考えは決して悪くありません。
ですが、店舗は複数あるのだから、ABテストくらいしたらよかったのでは、と思います。
新宿や銀座等は来店しやすく、一方東京ビッグサイトにある店舗ならスタッフ付き、などと区分けてもよかったといまだに思います。
全店舗で接客なしの売り場移行には無理がありすぎた。
優良顧客が親の匠大塚へ
親は大塚家具から離れた後は、自ら「匠大塚」を創業します。同じく家具屋で、高級志向だそうです。
ここには大塚家具時代のスタッフも移っています。
そして、そのスタッフが大塚家具を利用していた客を匠大塚へ誘導した可能性が高いです。
以前は会員制で、客と担当者がある程度、密接であったことから、当然連絡先等も把握しているでしょう。
基本、誰かしらの担当が付き、もし、引き続きその人に案内してもらいたい場合は指名することができましたので。(たいてい利用後はお礼のハガキが届いたりする。たぶん、今後も自分を担当として指名してもらいたいという意味合いもあったのだろうと思われる。私は面倒なので指名はしませんでしたが。)
自ら営業をかけたかもしれませんし、客のほうから連絡があるかもしれません。
そうした客はいつも担当してくれたスタッフがいる匠大塚の方を利用する可能性が高いです。
つまりは、分裂した段階で上得意先が抜かれた状態になります
そうなれば、利益幅の大きい部分が大塚家具からなくなり、結果として収益性が悪化する。
この辺りも大きく響いているのでしょう。
その他の要因
よく語られるのが、親子間の関係が悪いところで家具を買いたくない、という話。
ですが、本当にそんなことを言っている人は、そもそも大塚家具を利用していたのか疑問です。
たいてい、大きな買い物をするタイミングは新築した際であったりしますが、もう、昨今は家の中に収納等が用意されていることが多く、家具を買う、ということも稀になっています。
タンス、食器棚などなど、主力製品の一部が売れない時代になってきた中、縮小自体は免れなかったでしょう。
まさか、倒産間際までになろうとは思いもしませんでしたが。
まとめ
よくSNSなどで言っている人がいるいくつかの嘘と、あまりメディア等で触れられていない配当金絡みを基にした議決権争奪戦などの話をしつつ。
また、実際に利用していた際の店舗運営なども取り上げてみました。
だが、目立つのが低価格路線という嘘を信じて語っているのが多いこと多いこと。
いかにメディアに騙されるのが容易いかがよくわかる一幕でした。
終わりに
ゲームとは異なる話ですが、いろいろな企業の倒産の状況などを見てきたこともあり、あえて一利用者としても触れておこうと思った次第。
結局、経営者が会社が傾いているのに配当出し続けた時点で、器ではなかったということです。
とりあえずは中国系企業に買収されずに済んで一安心。
個人情報が持っていかれることには恐怖を覚えていたので。
だが、もし、ヤマダ電機のチラシが届こうものなら、ブチ切れると思います。
以上です。