ネット上で再び日本人は低評価をつけるので、日本向けには移植しない、日本向けは後にする、という話で盛り上がっているようです。
単に日本人が低評価をつけやすい、という以外の多くの理由を抜きに、この問題を語るべきではありません。今回は、その話の中で抜け落ちている要素を多数紹介していきます。
前段階として、20万以上のコメントがブログに寄せられた経験から、多くの人の意見を見ている立場であることも述べておきます。
日本は低評価をつけるから日本語は販売しないは順番が逆
日本で発売すると低評価をつけ、そのレビュー評価が全体に影響を及ぼすから出さない、という話が話題となているようです。
これは、大前提が間違っています。
そもそも、日本では売れないから出さないだけです。
利益が十分に出るのであれば、発売します。
主にPCで語るとするならば、日本で出してもほとんど売れていません。
にもかかわらず、翻訳コストは日本語の難しさと相まって他の言語と比べて割高になり、また、その翻訳を担う人材もいない状況です。
直近プレイした「Total War Three Kingdoms」(※「三国志」題材のゲーム)でも、このレベルのゲームでまともに日本語に翻訳しようとしたら、歴史的知識もプラスされてより翻訳できる人は限られます。
昨今のゲームはアップデートや追加DLCなどで追加の翻訳も重要になるため、継続的に長期間翻訳者を維持できるだけの余裕がないのが実情です。
それを用意しようとすると、利益が飛ぶ可能性があります。
それくらい売れていないので、ならば出さない、という選択肢が出てもおかしくありません。
もっとも、自社で三国志の別のゲームを作っており、相乗効果も狙えそうにもかかわらず、翻訳に人を割くことすらしないセガの考えは理解できませんが。
小規模なタイトルならば、翻訳サイトで翻訳すればほぼ問題なく意味が通じる他の言語と比べて及び腰になるのは想像できることでしょう。
日本におけるPC市場の規模から考えると、中国や韓国の言語があって日本語が無いのは納得できます。
残念なことではありますが。
返品制度が無い日本は低評価が多くなっても仕方ない
海外は返品制度がある国もあります。
日本は返品不可のため、買ったものがそのまま負担として残り続けます。
このため、海外はつまらなければ返品すればいい、という状況と比べ、それなりの額で購入したものにも関わらず、つまらないことの感情のやり場として低評価をつける行動に出るのは理解できます。
100円均一のお店で買って壊れてもクレームを入れないが、1万円の類似商品を買って壊れたらクレームをするのと同じことです。
消費者軽視の日本ならではの症状と言えるでしょう。
低評価が多いのではなく、高評価が少ない
日本は低評価が多い、と言われますが、海外でも低評価は普通にあります。
だが、それ以上に高評価が多い、という現状があります。
日本はそもそも一般的に評価をすることが苦手なのか、満足したらそこで終わり、外部に向けて評価をする、ということすらしない傾向があるようです。
評価そのものに長い文章を書いてしなければいけない、という思い込みもあるかもしれません。
それこそ、greatの一つでも言って評価する、という気楽さが欠けているように思います。
とはいえ、直近ではtwtterでいいねボタンを押したり、YouTubeで高評価ボタンを押したりと、気軽に評価する仕組みを活用する人も増えていることから、特に若い世代は評価する土壌ができてきているのではないでしょうか。
逆に、昔のゲームを楽しんでいた世代は評価する、ということをしないため、特に家庭用ゲーム機で発売されるような昔から続くシリーズ作は低評価が目立ち、高評価が少なく、相対的に他国と比べて低評価が多く感じられます。
ユーザーに喧嘩売っておきながら、なぜ好意的に評価されると思っているの?
メーカーがユーザーに喧嘩を売るような言動をするメーカー側の人間が多々いますが、なぜそうしたことをして好意的に評価がもらえると思っているのか疑問です。
ゲーム業界は、特にシリーズ物であればあるほど、ファンビジネスの色合いが強くなりますが、そのファンに対して否定的な言動をしておいて、なぜユーザー側がメーカーに好意的になると思っているのか不思議です。
日本の多くのメーカーに対してユーザーが評価しない原因の一つは、メーカー側自身の問題。
にもかかわらず、日本のユーザーは低評価が多いから、と言われても何言ってるんだ、という気にしかならないが如何に。
いくつか、その事例を述べておきます。
ソニーのステルスマーケティング
日本でゲームの対立構造を作り出したのがソニーのステルスマーケティング(以下、「ステマ」)によるもの、という経緯があります。
それまで、任天堂対セガなどの関係はあったものの、そこまでセガが日本で人気を博していたわけではなかったこともあり、また、インターネットが普及前だったこともあり、そうした対立構造があることを知らない、という人も多かったでしょう。
インターネットが普及しだした2000年代、ソニーがネット上でのステルスマーケティングを行ったことから、その対立構造が目に見えるようになりました。
特に他のメーカーを批判的に取り上げる行為が顕著で、その行為はネット上でも今でも情報を確認できます。
ステマは詐欺です。
詐欺をするメーカーを好意的に評価するわけない、というごくごく当たり前の話です。
これは、ステマを法律で禁じていない日本そのものの問題でもありますが、海外ではソニーの悪行のおかげでステマを禁止する法律ができた、と言われているものの、日本では今現在も法規制されておらず。
今現在、ソニーがやっているかではなく、全体的な話としてネット上での工作活動は行われていることから、日本でついている低評価は、実は他メーカーの工作によるものの可能性があります。
逆に高評価の工作もよく目にしますよね?
ゲーム関連に限らず、明らかに日本では使われない漢字が書いてあったりとか。
匿名掲示板のまとめサイトを取り上げるメーカー側の人間
匿名掲示板がネット上にあり、そこでいろいろな話題を書きあっています。
そこには先のソニー対任天堂のような内容もあったようです。また、ゲーム業界全体の話や、特定ゲームソフトの話題などなど。
本来はその匿名掲示板だけのネタであったものが、ある時期から悪意を持って外部に拡散されることになりました。
それが2000年代後半です。俗にいう「まとめブログ」と呼ばれるものです。
特に耳目を集めるために悪意ある偏向まとめを多く取り上げたことから、一般のユーザーに対しても悪意ある情報が出回り始めます。
匿名掲示板に他社製品を批判すれば、まとめて拡散してくれることからステマとの相性も抜群です。
ここで、最初に述べた20万のコメントを見てきたという話に続くわけですが、時を同じくして、当サイトでも明らかに今までとは異なるコメントが目立ち始めます。
この異なるコメントは、上述のまとめブログなどで影響を受けたであろうものを指します。
良くも悪くも、それまではゲームが好きであろうゲームユーザーによるコメントが多く寄せられていたものが、まとめブログで得たような情報でコメントを寄せる人が増えだしました。
ちょうど、時期的にはスマホの普及のしはじめでもあったことから、その相乗効果もあると見ています。
「まとめブログ」そのものを批判しても意味はありませんし、それを見て感化された人間にああだこうだいうのも時間の無駄です。
だが、まさかゲーム業界関係者が、そうしたブログを見て、なおかつtwitterで拡散させていませんよね?
悪意をゲーム業界側の人間が振りまいているのに、自らは高評価をもらいたい、ということ自体がおかしいことでは?
この辺りは先の「ユーザーに喧嘩を売る」の話にも続きます。
ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルはゲーム業界の悪意がすべて詰まっていた
バンダイナムコが昔、ゲーム業界で粋に暴れまわっていた時期に発売されたのが「ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル」。
これはゲーム業界の悪意がフルセットになっていた、という点で今回の話で取り上げるのにふさわしい題材です。
メーカー、開発者、ゲーム雑誌が織りなすジェットストリームアタックをご堪能ください。
ゲーム内に重要な課金要素があるにも関わらず、発売日前日にこっそり載せるだけ
このゲームは当時には珍しい、ゲーム内課金がありました。最終的に課金の是非についてはどうでもいいのですが、その告知が十分にされていなかったことが問題となりました。
発売日前日にこっそりとオフィシャルサイトに載せただけでそれ以外に十分な告知を行わず。
予約して買った人はキャンセルもできませんし、そもそも発売日前日にオフィシャルサイトを見なければ知ることもできない。
この行為は詐欺的行為であり、これだけでもこのゲームが批判されるにふさわしいものとなっています。
ゲーム開発者が他のゲームを批判
このゲームを持ちあげるためか、他の類似作品を否定的に述べたことが問題となっています。開発者自ら悪意を振りまいていくスタイルです。
それでも、そこまで言うならこのゲームは素晴らしいのだろう、と多くの人が期待したのですが、結果は攻略本が役に立たないくらいにあとで修正をしなければいけない出来に。
その他の作品が好きな人からすれば、否定的に言われたこと自体不快であり、ましてや結果も伴わない発言だったことから、このゲームに好意的になることはないでしょう。
ゲーム雑誌がこのゲームに全員最高得点
特定のゲーム雑誌のレビューにて、4人が全員最高得点をつける、という評価をしました。
実際に発売されたゲーム内容は上述の通りです。
ゲーム雑誌の評価がなんらあてにならないことを決定づけた一幕でもあり、また、それまでゲーム雑誌によるさまざまな悪意の究極系ともいえる出来事でした。
なお、単にこのゲームがジョジョのキャラクターゲームであると考えた場合、最高得点を出すこと自体、ありうることです。
だが、ゲーム雑誌のゲームレビューというコーナーでゲームとしての評価ではなくアニメファン的な評価を4人全員が行った、ということからゲーム雑誌はレビューすらまともにできない信用ならないものを確定的にしたものといえるでしょう。
日本でまともにゲームの評価文化が発展していないことの証左かもしれません。
YouTubeでコメントが書けない、評価が表示されない
YouTubeのゲームメーカーオフィシャルチャンネルで、多くのメーカーが評価の非表示、およびコメント等の記入不可になっています。
これは、ステマとも絡み、他社の妨害工作を受ける可能性を考慮してのものです。
ステマを禁止する法律が無いことから、日本で対応するには非表示およびコメント記入不可にするくらいしか手立てがないと言えるでしょう。
また、コメント管理が面倒くさい、というのも挙げられます。
それでも日本語付きで販売してくれる海外メーカー
大元の話が日本語付きで販売するのをためらう、であったり、日本は低評価が多い、ということでした。
ただ、昨今、steamを中心にインディゲームを中心に日本語展開してくれるメーカーが多く出ていることも事実です。
過去にPCソフトは一部のメーカーが日本語化も含めたパッケージ販売をしていましたが、事業そのものを止めるなどしたこともあり、海外のゲームを日本語化する土壌がなくなりました。
ですが、ここ最近は再び日本語化や日本でのマーケティングを行う会社も複数出てくるなど、活気づいています。
その流れで、steamでインディゲームの日本語化も多く見受けられるようになりました。
最終的にはNintendo Switchなどの家庭用ゲーム機でのインディゲーム販売も視野に入れているところもあり、実際にNintendo Switchで発売されている日本語化されたゲームも多々あります。
こうした動きがあるにもかかわらず、本当に日本語に消極的なメーカーが多いのか、というところは疑問を感じます。
一時期、日本語は後で、ということは言われていたようですが、それがいまだに続く価値観なのか、改めて考える必要があるでしょう。
終わりに
若い世代を中心にいいねを押す文化が出てはいるものの、残念ながらそれは家庭用ゲーム機には向かず、スマホの無料アプリなどのみ留まっているように思います。
単に若い世代が家庭用ゲーム機でゲームをしないというだけですが、そうした流れもあってか、なかなか既存のゲームの評価がされにくいのでしょう。
普段、物を買うときは、できるだけ日本製であったり、日本の資本が入っているメーカーのものを買うよう意識をしているのですが、ゲームだけはそうはならず。
逆に、海外のメーカーが日本語で出してくれているのをありがたいと思いながらプレイする日々。