アストラルチェイン 評価レビュー 目指すはゴレンジャーではなく、サンバルカンにすべきだった

2019年8月30日に任天堂より発売された「アストラルチェイン (ASTRAL CHAIN)」の評価レビューを取り上げます。

開発が「ニーア オートマタ」や「ベヨネッタ」などを作ったアクションゲーム開発が得意なメーカーでもあることから、その筋には注目を集めていた作品です。

評価レビューの前提として、メインストーリーはクリア済み、プレイ時間は17時間程度です。

アストラルチェインはゲーム自体は全体的に楽しめる内容

ゲームそのものについては、全体的に見て十分に楽しめる内容です。

このため、興味があるのであれば買ってプレイすると良いでしょう。

見た目に対する抵抗などがある人もいるかと思いますが、抵抗感が無いのであればすんなりとゲームの世界に入りこむことが可能です。

キーワードとしては「戦隊物」「宇宙刑事」とかでしょうか。ピンと来た人は触ってみては。

いろいろと複雑なことをやらされますが、ナビゲーションがあるため、ゲーム内での学習が可能です。

日頃、アクションゲームをやりなれている人であれば、すんなりとゲームを楽しむことが出来るでしょう。

このゲーム自体は全体的に楽しめる、ということを前提に、それでもいろいろと言っておきたいことがあるので、それをこれから取り上げていきます。

ゴレンジャーではなく、サンバルカンを目指すべきだった

表題を見て、何のことだかと思う人がいるかもしれませんが、まずは事前説明で「ゴレンジャー」と「サンバルカン」について。

共に戦隊物と呼ばれるテレビ番組で、昔、子供に人気のあったシリーズ番組です。

このゲームの全体的な雰囲気は戦隊物よりかは「宇宙刑事」シリーズかと思いますが、ゲーム中に登場する主人公追随型の機体「レギオン」と呼ばれるものは戦隊物をイメージしていると思われます。

さて、ゴレンジャーとサンバルカンの違いは何かというと、登場する主人公側の人数の違いが挙げられます。

ゴレンジャーは名称の通り、5名、サンバルカンも名前から推察できるように3名。

この5と3の違いが、このゲームのゲーム性に大きく影響を及ぼしています。

具体的には、多すぎる、ということ。

多すぎることの弊害が、さまざまなゲーム性、および操作性に絡んできます。

一言でいうならば、煩雑になりすぎている。

アクションゲームとしてテンポよく遊んでいく過程で、この5という数の多さが、テンポをさまざまな場所で阻害しています。

レギオン切り替え操作に対する影響

まず、操作性について。操作に関してはセッティングの切り替えで人によって受け取り方が異なるかもしれませんが、自身でプレイした際の操作性について取り上げます。

5つのレギオンを切り替える際に、2つの手段があります。

一つはボタンを押していくことにより、5つのレギオンを順送りに切り替える方法。

もう一つはボタンを押し続けた後、レバーによって5方向に配置されたサークル状の配置から選ぶ方法。

順送りに関しては、自らが目指すべきレギオンに到達する際にボタンを押す回数が増える他、ボタンの押す回数のミスなどによってさらにボタンを押して調整をする必要が出てきます。

レバーによる5方向の中から選ぶ方式だと、その時点でゲームが一時中断となり、ゲームとしてのテンポを阻害します。

もし、これが3つであれば、押し間違えを減らすことが出来、ミスしても即座に対応できたでしょう。

当然、レバーによる選択など導入する必要もありません。

5つも切り替えがあるからこその煩雑さ、テンポの悪さを生んでしまったと思われます。

だが、作り手がゴレンジャーを作りたいんだ、と言われたならば、もう何も言いようがありませんが、プレイヤーとしてはこの部分でストレスを溜める羽目になったということも、言っておきます。

要素が多すぎることの弊害

先の5つのレギオンの問題と絡みますが、キャラクターに付随するレギオンはそれぞれ特徴があり、その特徴を活かしてゲームを進めていく必要があります。

このため、ゲーム中に切り替えが必要になるわけですが、その切り替えに対するストレスが発生するため、数が多ければ多いほど、不快感が溜まります。

また、その切り替えが平時であれば多少のミスがあってもいいのですが、戦闘中に切り替えが要求される場面も多く、そこでミスした際に敵に攻撃を食らう、もしくは切り替え中に攻撃を食らうなどされると、やはりストレスになります。

また、何で対応したらいいか、ということを考えなければいけない場面もあり、当然そこがゲーム的に楽しむところなのですが、確認すべきものが多いため、特に戦闘中だと対応が間に合わないことも多々あります。

いろいろな要素があればいいゲームだ、というPS2やPS3時代のゲームをやっているかのような気になります。

ゲームをやっているのではなく、やらされている感が強い

いろいろな要素があるため、そのためのナビゲーションが重要になります。

新たなレギオンを手にしたら、その使い方などを説明などしてくれるのですが・・・。

その数が多くて、なんだかゲームをやっているのではなく、やらされている感があり。

それはレギオンの数が多いために、それだけのチュートリアルが必要だ、というのもそうですが、それ以外でもああしなさい、こうしなさいという要素が多く。

とはいえ、その「ああだこうだ」が無いと、今度はゲームに詰まる人も多々出てくる内容のため、そうしたことが必要になるのも頷けます。

このため、なぞったプレイが好きな人なら受け入れられるものの、指示されるのが嫌な人だと、嫌悪感が現れます。

視点の問題が多々

画面の見やすさによる問題も多く感じられました。

特に下に落ちてしまうパターンが多く。

普通に敵の攻撃を回避をしていたら下に落ちる、などということもあり。

当然、その場所が落ちる場所だからなのですが、ステージの多くが狭い場所が多く、敵の攻撃を受けるより落下しないことを優先して行動する必要があり、アクションゲームとしての楽しみが減っています。

視点の位置などの問題か、敵の位置把握などがしにくく感じます。

また、全体的に狭いエリアが多いからか、後ろの壁にカメラが当たってか、プレイヤーの位置把握が難しくなる場面もあり。

落とし穴も含め、なぜ、ここまで狭い感じにしているのかが不明です。
もしかしたら、Nintendo Switchの性能上の理由などもあるかもしれませんので、何とも言えませんが。

キーコンフィグの自由設定は欲しかった

キーコンフィグは指定された4つのパターンの中から選べます。

可能であれば、自由に設定できればと思った次第。

いろいろと述べてきたように、やることの多さからくる操作の複雑さがあり、その解消の一つとして、キー設定を自由に変更できれば、多少なりとも解消できたのでは、と。

4つの設定でどれを選ぶかにもよりますが、私の場合はレギオンの呼び出しと敵への攻撃とが近い位置にあったため、押し間違えによって別のレギオンを呼び出すことになるのが多々あり。

また、最後のボスと戦う場面では、カメラ撮影機能が起動してその解除に手間取ったりと、散々な目に。

他のゲームでもそうですが、ユーザー側にキー設定をさせてほしい。

もっとも、さまざまな要素があるゲームなので、弄らせることによる弊害もあるのでさせていない可能性も否めませんが。

なんでムービーシーンはSE扱いなの?

気になった点として、ムービーシーンの音量が、たぶんSE扱いになっている点。

このため、SEの音量を下げていると、ムービー中の音声がよく聞き取れず。

ゲームのSEは、このゲームに限らず結構耳障りな音が多いので、いつも下げるようにしているのですが、下げたら今度はムービー中の音声が聞き取れなくなるという状況に。

ムービーを一括してSE扱いにしているのかもしれませんが、曲、SE、音声でしっかりと分けてもらいたかった。それか、ムービーで別途設定を作るか。

それでもクリアまでは遊んでいる

いろいろと述べてきましたが、それでもクリアまでは遊んでいるので、最初に言ったように十分遊べるゲームだと思います。

レギオンの数にしても、開発側が5体でこういったものを作りたいと思っている以上、どうにもならないことですし。

ただ、プレイしていく過程で、ゲームの面白みとは別に、操作等に絡むストレスというのは蓄積していくもので、その部分に対して気になることが多いため、このような内容の評価レビューになっています。

ゲームを楽しむ上での喜怒哀楽とはまた別のストレスは御免被りたい、というのが正直な感想です。

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