e-Sports(イースポーツ)が話題になりだしてから数年経過していますが、今回はそのe-Sportsについて、一般的な考え方と、当事者との考えの乖離と、いったい何を目指しているのか、ということを取り上げていきます。
この話は、1年前の東京ゲームショウ2018でいろいろな講演を聞いたこともあり、その時に取り上げようと思っていたのですが、1年経過しても書く気が起きず、結局、東京ゲームショウ2019の前週に取り上げる始末。
時の流れの早さと、切羽詰まらないと行動しない人間としての本能が垣間見れます。
世間一般が考えているe-Sportsは業界が考えているe-Sportsと一致しない
世間一般が考えているe-Sportsと、メーカーやその周辺企業が考えているe-Sportsとは大きく乖離しています。
まずは、この違いを見ていきましょう。
ユーザーが考えるe-Sports
ユーザーが考えるe-Sportsは、どちらかというと、「e-Sports大会」かと思います。
プロの選手がいて、大会に参加し、優勝者には賞金が支払われる。
プロの選手やチームにはスポンサーが付いて、選手として潤うこともできる。
この辺りがユーザーが考えるe-Sportsだと思われます。
だが、業界側が見るe-Sportsはまた別の側面があり、その側面の方が強いように感じます。
e-Sportsとe-Sports大会の違い
そもそも論ですが、e-Sportsは別に大会が無くても成り立つものです。
極端な話、ゲームによる対決がe-Sportsであって、それが大会として存在する必要性はありません。
一般人がゴルフをする場合、ゴルフ大会とは違いますがゴルフをしている、となるのと同じことです。
友達と対戦しているだけでも極端な話、e-Sportsです。
対戦でなくてもスコアを競う要素があるのであれば、それもe-Sportsです。
e-Sportsの言葉自体は昨今登場していますが、それこそ昔からあるスコアアタックやクリア時間を競う要素なども、今風に言えばe-Sportsなわけです。
これが「e-Sports大会」となれば、優勝者を決めることが主となるでしょう。
ただ、それだけの違いです。
なので、普段からゲームを遊んでいる人も、それはe-Sportsであることが多々あります。
プロとなって金を稼いでいなくてもです。
ゲーム業界が考えるe-Sports
ここからはゲーム業界が考えるe-Sportsについてです。
立場等によって違いはあるでしょうが、大まかに聞いた感じの話をいくつかに分けて取り上げていきます。
ゲームメーカーが考えるe-Sports
ゲームメーカー側としては、極端な話、広報活動の一部でしかありません。
盛り上がりを演出すれば、ゲームも売れていくことが一つの考えです。その考えの中で、大会があるわけです。
大会が盛り上がり、メディアなどで取り上げられれば、それだけで一定の広報的な価値が生じますので、多くのメーカーはこの辺りを狙っているのでしょう。
逆にメディアに取り上げられないこじんまりとした大会にしかならないようであれば、またそれに付随して利益が出ないようであれば、e-Sportsから引いていく可能性も当然あり得ます。
直近だと、話題性もあり、メディアから取り上げられやすいからe-Sportsとして盛り上げていこうという流れがあるものの、それが予算等に見合わないようであれば、自然と淘汰されていくでしょう。
カプコンの「ストリートファイター」のように末永く大会を実施するような気概のあるメーカーがどれだけいるか注目です。
大会運営企業が考えるe-Sports
ゲームメーカーが直接運営するゲーム大会もありますが、それ以外に別途、大会を主体として運営している企業も存在します。
そうした企業は、当然収益をe-Sports大会やそれに付随するもので利益を得ていく必要があります。
ある意味、本気でe-Sportsに取り組まなければいけない企業と言えるでしょう。
前年の時点では、利益が出ているのかどうかわからないような話をしていましたが、大会そのものをイベント化してe-Sports以外からの接点も設けるなど、工夫をしているようです。
また、ネット配信等でも収益を得るための手立てを講じているので、それらを含めてどこまで収益化を図れるか。
あとは、グッズ販売やスポンサーなどを集めるくらいでしょうか。
バックには大手のゲームメーカー以外の企業が付いていたりもするため、そうした企業としての一部署として、どう取り組んでいくかも絡むため、単体で収益を上げる必要性はもしかしたらないかもしれません。
運営協力企業が考えるe-Sports
e-Sportsに絡んだ運営を協力する企業も存在します。
もう、ここまで来ると、一般人が考えるe-Sports大会とは異なり、単なるゲームメーカーの広報下請けといったイメージの方が理解しやすいと思います。
メーカーが行うイベントの運営に携わるといった企業です。
極端な話、そうした企業は昔から存在していたでしょうから、e-Sportsだからと言ってクローズアップする必要性はないかもしれません。
ただ、こうした企業もe-Sportsを支える一つの要素であるのも事実。
e-Sportsが盛り上がり続ければいいのですが、そうならなかった際には消えてくかもしれません。
芸能事務所が考えるe-Sports
芸能事務所がe-Sportsチームを作った、などといった話も聞こえてきます。
これらのチームは、当然大会で勝つことを目標としているでしょうが、それ以上に、単なるタレント派遣の一つの形でしかないこともあります。
ようは、そこまで大会で勝つことを重視するのではなく、ゲーム系のイベントやテレビ等のゲーム番組への出演を狙った展開です。
それを、今話題になっているからとe-Sportsに絡めただけです。
テレビでもe-Sportsに絡む番組や、ゲーム番組も増えてきていますので、そうした番組への派遣はもちろん、ゲームメーカー主催のイベントなどへの出演も狙っているのでしょう。
テレビ局が考えるe-Sports
去年の段階でもe-Sports絡みの番組が放送されているとのことでした。
また、関心を示しているテレビ関係者もいたことから、まだまだ動きがあるのかもしれません。
東京オリンピックと絡めて盛り上げていこうという雰囲気はあり、実際に2020年に絡む話もしていたため、何かしらの動きはあるのかもしれません。
ただ、もし、数字が取れないなどがあった場合は、急速に取り扱いを止めるでしょうから、持続性の面では疑問が残ります。
話題性があれば、という話もあり、東大を出た人がe-Sports大会で優勝した、というのは取り上げやすい、という話も。
なので、今後、プロゲーマーを目指すのであれば、東大だけでなく、海外の有名大学に進学した後にプロゲーマーとして結果を出せば、e-Sports全体が盛り上がるのだろうと確信しました。
なので、若い人でプロゲーマーを目指すのであれば、ゲームを止めて、まずは勉強をしましょう。
プロチーム運営会社が考えるe-Sports
一般の人が想像しやすく、e-Sportsのイメージに近いのがプロチーム運営会社。大会に出たり、商品のPRしたりと、スポンサーが付いたりと、わかりやすい内容です。
トップ企業は十分稼いでいるようなので、運営は順調なのでしょう。
海外と比べるとまだまだ低い、という話ですが、言語の規模が違うのでこればかりは致しかたないのかと。
やはり、プロゲーマーになるには勉強を先にやって言語等の問題もクリアにする必要がありそうです。
e-Sportsに関するまとめ
以上が、去年の東京ゲームショウ2018で行われたさまざまな講演等による話の概要です。
一般の人が考えるe-Sportsとゲーム業界とその周辺が考えるe-Sportsの範囲の違いと、どのような企業がかかわっているのかを取り上げました。
最終的にはe-Sports大会が盛り上がるかどうかはもちろん、それが一部のゲームユーザーだけでなく、一般の人の興味を引くことができるのかが、今後のポイントとなりそうです。
テレビ的には東京オリンピックがある2020年を一つの目処に考えているようですから、その時にどこまで注目を集め、視聴率を取れるか。
そして、それが継続するかが、盛り上がりを維持発展させる要因となるでしょう。
残すはあと1年。
結果がどうなるのか楽しみです。