任天堂のお膝元の京都市が吉本興業にステマ依頼、ゲーム業界ではソニーが有名だが、YouTubeのUUUMのステマ問題なども取り上げ

直近に、京都市が吉本興業に所属の人間にステマ依頼をした、というニュースが出てきました。

金額の多寡に話題が集まっていますが、どちらかといえばステマ問題の方が重要度が高いです。

ステマといえば、ゲーム業界ではソニーに代表されるように、昔から問題が多かった広告手法です。

当サイトでも何度も何度もその問題点を取り上げてきましたが、今回は京都市の話や、動画サイトYouTubeでのステマ問題なども取り上げていきます。

YouTubeに関してはUUUMの行為についてなども。

ステマは詐欺です

ステマ、ステルスマーケティングの略ですが、これの何が問題かは一言で言って「詐欺」だから問題視されています。

日本だとステマに関する法整備ができていないため、軽視されがちですが、北米などを中心に法的に制限がされるなどしています。

この辺りは日本の対応の遅さが問題視されていますが、以前、ギャンブルガチャを規制しようとしていた人物が殺害と思しき亡くなり方があったなどを考えると、命あっての物種ということで、及び腰になるのは仕方ないのでしょう。

ステマに関してはネット上で活動している人はSNSやブログ、動画サイトなどを想像するでしょうが、一般の雑誌などでも同様のことがあります。

そうした問題があってからか、まっとうな雑誌では広告である旨を記した記載がどこかしらにあったりします。

ネット上でも「PR」をつけるなど、対応をしっかりとしているサイトや人も多くあります。

今回は、そうした対応を無い状態でSNSで発信したことが問題視されています。

京都市と吉本興業のケースはステマなのか?多少の弁護

今回、京都市と吉本興業がステマを行った、ということになっています。

多少なりとも京都市と吉本興業の肩を持つなら、その宣伝内容に対してタレントが表に出て活動しており、その活動を紹介する形でのSNSでの投稿なので、投稿自体にはPRマークが無くても関係性の明示はされているのでは、という考え。

ただ、今回は残念なことに、契約内容にSNSで発信することに対してお金を払うという内容が含まれていたことから、活動に対する紹介とみなされず、SNSに投稿することそのものが別枠のPRである、という考えと見なされてしまいます。

では、今回以外のパターンだと、どうなるのか見ていきましょう。

隠れたステマは一括依頼

京都市と吉本興業の例だと、SNSの投稿にいくら、というパターンでしたが、ここまであからさまな例は珍しいものです。

一般的には、依頼主との関係性をぼかし、ステマでないように見せかけるために、次のようなパターンを取ります。

依頼主が広告代理店にネット全般での広報活動を依頼。
広告代理店が勝手にステマをやっている風を装う
いざとなったら依頼主は広告代理店のせいにして逃げる

まともなところだとこのようなことはしないものの、胡散臭いところはこういった形でネット上でのステマをやっていたりします。

そう考えると、ある意味、吉本興業と京都市の例は、わかりやすすぎて特殊ともいえるでしょう。

YouTubeでのステマ問題、UUUMのやっていることはステマ

さて、ちょっと話は変わって、最近目立っているのがYouTubeでのステマ。

YouTubeでの大手事務所として有名なのがHIKAKIN有するUUUMですが、この事務所のやっていることはステマです。

以前、UUUMが「提供」と書いているので、ステマではない、ということを言っていて、実際に管理している動画配信者にも徹底しているという話がありました。

これ自体は別に特にいう必要はありません。

ですが、明らかに依頼主から金をもらい、その商品の宣伝をしているのであれば、それは「提供」ではなく「広告」です。

提供と書けば許される、というよくわからない自己ルールをいつまで続けているのか謎です。

実は、YouTube側ではこの問題に対して明確なルールを設けています。

それが「有料プロモーション」に関するルールです。

YouTubeの有料プロモーションとは

YouTubeでは「有料プロモーション」というものを明確に定義しています。

『動画にはスポンサーから対価を得て、スポンサーの製品やサービスを紹介すること(「有料プロダクト プレースメント」)、製品やサービスをおすすめすること(「有料おすすめ情報」)、および、視聴者への開示が必要なその他のプロモーション コンテンツ(以下「有料プロモーション」)を配置することができます。有料プロモーションを配置する場合は、下記の手順に沿って、[詳細設定] で「スポンサーから対価を受け取ったプロモーションが含まれる」ことを示すチェックボックスをオンにして YouTube に通知する必要があります。』(YouTubeヘルプより)

ここでは、『「スポンサーから対価を受け取ったプロモーションが含まれる」ことを示すチェックボックスをオンにして YouTube に通知する必要があります。』と記されています。

チェックを入れることによって、動画が配信される際に左下に数秒間「プロモーションを含みます」という表示が出ます。

これにより、視聴者側が依頼主から金銭等の授受があったのだということを認識できます。

これをUUUM系の動画配信者はやっておらず。

で、実際にこれをやっている人はどういった人か。

最初に見たのはキズナアイ

個人的に最初に「プロモーションを含みます」の表示を見たのは、たまたま見ていたキズナアイの動画でした。

何か左下に表示されているな、と思ってみたら、「プロモーションを含みます」の表示が。

正直、この手の会社は胡散臭いところも多いのですが、まさか一番最初に目にしたのがキズナアイという・・・。

この段階で一気に評価が上がったりします。それくらい衝撃的なものでした。

ちなみに、「AI」と書いてあったので、動きも音声もコンピュータが行っていて、ライブ配信でコメントに返信しているのも見て、すごいと思っていたのですが、まさかの内容で・・・。

騙されました。

他のYouTubeでの動画配信者はどうなのか

それほど多くの例を見ていませんが、他のゲーム実況者などを見ていくと、UUUM系以外の方が実はしっかりと「有料プロモーション設定」を行っていたりして笑えます。

昔、案件案件言っていたようなふざけているかに見えた動画配信者が、しっかりと明示していて、関心させられます。

下手をするとUUUM系だけがステマやっている状況になっています。

ちゃんと明示してもらいたいものです。

提供と広告は意味が違う

UUUM系がよくやる「提供」というものを書いておけばよい、という考え。

実は、提供と広告は意味が違います。

提供とは

テレビなどで見る提供は、お金などを出すだけで、基本的にその内容に対して述べることは基本的にはありません。

例えば、提供が任天堂でも、番組中にソニーやマイクロソフトのゲーム機が出てきても文句は言えません。いい気はしませんし、スポンサーをやめる可能性はありますけど。

ましてや、まったくゲーム以外の番組であっても、提供としてお金を出す。

これが提供です。

制作者側が気を使うことはあっても、直接自社製品を売るためだけの番組作りを指定するのであれば、それは広告です。

なので、動画配信者で提供という表現を使うのであれば、お金はもらったものの、その会社の製品以外を扱うことも日ごろからやっていないといけないわけです。

UUUMが言うところの提供という名の広告

一方、UUUMは提供といいつつも、やっていることは商品の宣伝です。

金銭等を受け取り、その会社の商品を取り上げる。

これは提供の概念から外れ、広告になります。

ウェブ上なら「PR」や「記事広告」などと書かなければいけない事案です。

「提供」という名でごまかさず、YouTubeであるならばしっかりと「有料プロモーション」設定を行ってもらいたいものです。

もし、YouTubeの仕組みを利用しないのであれば、動画内に「PR」や「動画広告」の文字を自ら入れるべきです。

広告と書くと効果が薄れる

広告と書くと、効果が薄れる、という考えがあります。

実際に、広告と書くより、いかにもその人の体験談であるかのように語る方が、効果が高いです。

だからこそ、ステマがあるわけですし。

ですが、広告と書かない方が効果が高いという考えが少しでもあるのであれば、その時点でステマです。

UUUMは2019年9月25日にガイドラインを改定したが・・・

先の話を書いた後にネットを見ていたら、どうも2019年9月25日にガイドラインを改定した、というニュースリリースを見かけました。

ですが、残念ながらそこにも「有料プロモーション」の設定をすることを書いてありませんでした。

独自ルールはどうでもいいので、YouTubeのルールに即した対応をし、しっかりと広告である旨を表示してもらいたいものです。

ゲーム系出版社がゲームをYouTubeで上げたらどうなるのか

少し話を変えて、例えば、ゲーム系出版社のYouTubeチャンネルで、ゲームの動画を上げたらどういう扱いになるのか。

当然、広告費をもらって動画を作ることもあるでしょうから、そうした際にどういった扱いになるのか。

厳密にいえば、金銭をもらって、そのメーカーのゲーム等の動画やライブ配信をするのであれば、広告に該当するのでしょう。

実際にどういう対応をとるのかにも注目です。

もっとも、先に例に挙げたように、例えば雑誌の広告費として一括でお金をもらって、レビューや動画配信で配慮する、みたいな形での対応が一般的になりそうな気もしますが、さてさて。

投資関連での詳細な記載

かなり昔ですが、テレビを見ていた時に、投資関連の番組で、とあるコメンテイターが現れました。

その際に、やたらと大量の文字が画面に現れ、どういうことかと見ていたら。

そのコメンテイターの会社と、取り上げるであろう会社の関係性のようなものを長々と書いてありました。

株の保有が云々とか、アドバイザーとして契約があるか、とか。

たしか、このような内容だったと記憶しています。

ネット上での広告関連も、規模は違えど、しっかりと関係性明記をすべきなのでは、と思った次第。

何を書くかどうか、どこまで記載するかのルールが残念ながら日本ではないため、手探りなところもありますが、できれば法整備を整えてもらいたいものです。

ちなみに、海外だと次のようなルールがあるようです。

米国:連邦取引委員会(FTC)
英国:広告慣行委員会(CAP)
フランス:競争・消費者問題・詐欺防止総局(DGCCRF)
ドイツ:メディア監督機関 Medienanstalten

YouTubeの説明ページに記載されている例ですが、日本がないのは残念です。

おわりに

ステマに関してはゲーム業界は大きく影響を受けてきたこともあり、今回、あえて畑違いである京都市と吉本興業の例を挙げつつ、YouTubeの動画配信も絡めてステマの問題を取り上げてみました。

ゲーム業界もYouTubeの動画配信者に仕事を依頼する例も多いことから、この辺り、メーカー側からも働きかけがあって適正なルールの下で運営してもらいたいものです。

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