2021年3月9日(日本時間3月10日)にPC用ゲームとしてsteamで発売された「Stronghold Warlords (ストロングホールド ウォーロード)」の評価レビューです。
プレイ時間は20時間。キャンペーンモード基本の4キャンペーンをクリア。小戦闘を1つクリア。キャンペーンモードの政治経済キャンペーンを途中までクリアの段階で取り上げています。
過去作は「Stronghold HD」「Stronghold Crusader HD」「Stronghold Crusader 2」をプレイ済み。
発売日バージョンで発生しているさまざまな問題や、日本語に関してなども述べています。
ゲーム画面等は載せませんので、その辺りはYouTubeでの評価レビューにてご確認ください。
また、ゲーム内容の紹介も込みとなっています。
ゲーム概要
先にゲーム概要から。ソロプレイの際の内容です。
RTS(リアルタイムストラテジー)というゲームジャンルに含まれるゲームで、基本はリアルタイム(時間の停止が無く)でゲームが進行していきます。
時間に追われながら、内政、戦闘、外交を行い、敵の勢力を滅ぼしていきます。
とはいえ、ソロプレイの場合は一時停止も可能で、停止中は部隊の移動の設定は可能です。内政の建物を建てるなどは、時間を動かす必要があります。
時間は早くすることもできるし、遅くすることもできるため、時間経過を速めたい場合は早くしてテンポよくゲームを進めることもできます。
舞台は東アジアとなっており、日本、中国、モンゴル、ベトナムの過去の歴史上の人物を元にしたストーリーも展開。
また、ストーリーモード(キャンペーンモード)以外にも、これらの勢力を君主として戦いあう1戦限りのモード「小戦闘」もあり、選んだ君主によって敵の行動が変わるなどもあります。
日本は「豊臣秀吉」、中国は秦の「始皇帝」、モンゴルは元の「チンギス・カーン」と、日本人ならある程度の馴染みの深い人物が君主として登場します。
キャンペーンによってクリア条件が異なり、おおむね、防衛を達成、物資を一定数確保、敵を攻め落とすなどとなっています。
内政と戦闘と外交
ゲーム中の内政と戦闘、外交について個別に見ていきます。
内政
内政に関しては、食料、資材、人口、武器、兵士、各種施設などをバランスよく整えつつ、防衛のための防壁、防城兵器を建てるなどを行います。
特に重要なのが食料で、無くなると人口が減っていくため、ある程度余裕をもって増やす必要があります。そのバランスを右下の項目で確認ができるため、マイナスになっているなら増やすなどが気軽に選択できます。
食料を与えないなど、バランスを変化させることもでき、そのあたりの調整が内政の大きなポイントとなります。
バランスが悪くなると民の機嫌が悪くなり、人口が減っていきます。
この民の機嫌は、他にもさまざまな要素で上下動さえることができます。その調整を随時、状況に応じて行うことが必要となります。
このあたりを面倒に思うかどうかで、ゲームの評価が変わるでしょう。
最終的には一定の割合で落ち着かせることもできますが、序盤はあえて人口が減るのを覚悟で税金を多めに取るなどの選択もできます。
全体的に落ち着くまでは内政をしつつ、防御を固め、敵を迎え撃つことになります。
資源が無いと家が建てられなかったり、武器が作れなかったりもします。資源は得るための建物が用意されています。モードによっては市場や資材置き場等で売買が可能ですが、キャンペーンモードなどで条件付きで不可になっている場合もあるため、そのための調整も必要です。その際は外交等を使うことになります。
ちまちま売買や調整をするのが面倒な場合は、市場を建てることで、ほぼ自動で一定値まで売買をしてくれる仕組みがあります。
この市場を使えば、内政に対するかかわりを大きく減らせ、戦闘に重点を置いたプレイができるようになります。
ある意味、内政は簡略的に、どちらかというと大勢力を作って敵を攻め込む楽しみを得やすいゲーム内容になっています。
戦闘
戦闘は部隊を整え、敵を攻めたり、押し寄せる敵から拠点を守ることが中心になります。
モードによっては、初期の部隊のみで敵を倒さないといけない、などの条件もあります。
部隊ごとに特徴があるので、それらをうまく活用していくことで有利に戦いを運ぶことが可能です。
かなり多くの部隊を集めて敵の拠点を攻めることになるため、操作に関しては煩雑になりがちです。
ショートカットキーなどが利用できますが、兵の増強を何度もすることになるため、ショートカットキーへの登録漏れが生じやすく。
かといって、一括操作だと兵の損害が大きくなるため、確実に操作するためには慎重な操作が必要となります。
このあたりがリアルタイムで行う必要があるため、人によっては難しさの要因となります。
先に説明したように、ソロプレイであれば一時停止をし、部隊の進む方向を決めたり、部隊のショートカット設定を行ったりが可能なため、リアルタイムにこだわりが無いのであれば、一時停止を活用しましょう。
一時停止を使用するのに抵抗感がある場合でも、進行速度を「遅い」に設定すれば、操作はしやすくなります。
大部隊で一気に敵を蹂躙することや、投石機などの攻城兵器を活用して城門を打ち破っていくことが楽しさの一つのゲームです。
とはいえ、初代のゲーム内容が城を守り抜く、ということに焦点を当てたゲームであったことから、その要素が少ない今作は、人によっては不満に感じるかもしれません。
新要素の外交の是非
新要素に外交要素があります。
敵君主とは別に、豪族という勢力がちりばめられており、それらを武力で制圧するか、外交ポイントを使って服従させていくことでプラスの効果が発動されます。
自動的に豪族の種類に応じた効果が出るだけでなく、援軍派遣や物資提供なども外交ポイントを使って行うことができます。
このあたりのどの豪族を早めに確保するか、どう確保するかが攻略する際に考えていく必要が出てきます。
ただ、豪族がいることによって、自らの拠点の大きさが限定されてしまい、広い領地内政や防衛ができないデメリットも発生しています。
また、豪族を守るためにある程度の部隊を豪族の領地に送る必要がありますが、自らで築いた城塞と異なり守りにくいため、守って敵を追い返すことが難しかったり面倒であったりします。
豪族は敵の外交によってあっさりと寝返ったりするため、その対応も必要です。
このあたり、豪族の存在と外交の登場によるプラスの効果とマイナスの効果がそれぞれ出ています。
外交画面は物資等の要求と服従等の画面の2つに分かれますが、両方を見るのは面倒なため、できれば1つの画面にまとめてくれれば、と思ったりもします。
もし、今後可能であれば小戦闘などでも豪族がまったくいないマップなども出て、領地内政を存分に楽しめる戦いができれば何より。
キャンペーンモードは攻めるのが多め
キャンペーンモードは各国に対して6つのマップが用意されており、それぞれクリアしていくことでその国のストーリーを見終えたことになります。
4つの国の他に、内政に重点を当てた「政治経済キャンペーン」も用意されており、こちらは戦いはあるものの、できるだけ早くに物資等を揃える、ということに重点が置かれます。
国は先に述べたように日本、中国、モンゴル、ベトナム。
それぞれ、特徴的な国に関するユニットが出てきますが、ある程度は他の国のユニットも使えるようになるなど、幅広くなっています。
あくまでも既存のストロングホールドシリーズをアジアに当てはめた、という程度のもののため、各国の特徴が大いに出たものにはなっていませんので、この点を望む人はご注意を。
とはいえ、日本ならば侍や僧兵、忍者などが出てきたり、モンゴルならば騎馬部隊が出たりと、要所は抑えてあります。
各マップによっては資源が得られないものがあるなど、そのマップに応じた戦いが必要になるため、与えられた条件をいかに攻略していくかが好きな人にはおすすめできるモードです。
ストーリー面も史実に基づいて話が進むため、歴史が好きな人も興味を惹かれる要素でしょう。
日本は豊臣秀吉側として戦っていくことになりますが、日本人では絶対描かないであろう「かっこいい豊臣秀吉」を見ることができるのもポイントの一つです。
多くのマップでは攻めが中心となるため、城塞を築いて守り抜くのが好きな人からすると、マイナス要素でしょう。
また、豪族の扱いも厄介で、特に前のほうの豪族の拠点で守り抜く、といったことも必要になるため、自ら育てた拠点をうまく活用できない場面が多くなることも内政の楽しみを削いでしまっています。
この辺りは攻めるのが好きか、守るのが好きかによっても好みがわかれるところ。
不具合の有無
不具合の有無ですが、不具合自体はあります。
また、兵の挙動等に関しても、おかしいと思える部分もあります。
これらに関しては、開発側が今後も改善をしていくことを述べていますので、今後の対応待ちです。
個人的に気になった点としては、弓兵が手前側に障害となるものが無いにも関わらず、敵の目の前まで行って射撃をしようとしたり、ユニットが壁等にはまっているのか動けなくなったり、挙動面ではてなマークがつくことがあります。
また、実際に正しい挙動なのかどうかもわからない点として、キャンペーンモードで一定の場所から特定の兵器が移動できない、などもありました。これは単に説明不足等の可能性があります。
この他、日本語に絡む不具合は別途紹介。
日本語化と日本語に関する不具合等
今作では海外ゲームではあるものの、日本語テキストが収録されています。
また、テキストなどだけでなく、日本語音声も収録されていることから、日本のプレイヤーとしてはそれだけでも大変ありがたい気持ちになります。
日本語の音声に関しては発売のかなり直近になってから発表されており、何度も発売を延期してきた過程で音声の収録が可能になったものと思われます。
なお、どうやらたぶん日本の会社「Sticky Rice Games」が関わっているそうです。
会社概要を見ると、「株式会社ズー」という会社に勤めていた人が立ち上げた会社とのこと。会社概要をみるとズーから分離的に立ち上がった会社のようにも読み取れますが、細かい詳細は不明。
ズーは過去にはさまざまな海外ゲームの日本語版の発売をしていた会社でもあり、この「Stronghold」シリーズや「Total War」シリーズの日本語版発売も行っていました。
そうした経緯もあってか、ズーに勤めていた人の新会社で日本語テキストや日本語音声の収録が行われたのではないかと思います。
テキストだけでもありがたいのに、まさかの音声収録。
そうしたありがたい面がありつつも、日本語に絡む調整不足もあります。
ゲームを遊ぶ上で、必要以上に問題視すべき点ではないものの、述べておきます。
日本語テキストの表示問題
日本語テキストの表示のブレのようなものがあります。
水牛が必要となっていても、実際に建てる建物には雄牛という表示なっているなど。
また、ヘルプ等での記載ミスや、過去シリーズの記載を流用したのか、ゲーム中には登場しないものがかかれていたりなどもあります。(たき火についてなど)
決してパーフェクトな日本語ではありませんが、外部の日本語化MODなどでもよくあることでもあることから、必要以上にこの部分だけを取り上げ、駄目出しするのもどうかと思います。
遊ぶ上で理解してしまえば問題はなくなるでしょう。
日本語音声の不具合
日本語音声が収録されているものの、ユニットの行動をする際に、そのユニットが本来発すべき音声とは異なったものが割り当てられているように感じます。
馬に乗っていないユニットが馬ではそこに行けない、など。
たぶん、開発会社には日本語が細かくわかる人がいないであろうことから、ズレている、ということすら認識していないと思われます。
日本語環境でセーブができない問題
日本語を持ちた環境では、セーブができない、という症状が出ているという話があります。
いくつか可能性と、自らでも試したことについて述べておきます。
なお、過去作の「Stronghold Crusader 2」で似たような経験をしていたので、その絡みも含めておきます。
キャンペーンモードの結果すらセーブできない
自らでは体験していませんが、キャンペーンモードの結果すらセーブされない、という人がいるようです。
セーブデータを保存するであろうドキュメントファイルまでのファイル名のどこかに日本語等が使われていると駄目なのでは、という話があります。
PCのユーザー名を変える、などで対応できるのではといわれていますが、実際にどうなるのかはわかりません。
steamのレビューで日本語でこの点を述べている人もいますので、確認してみましょう。
ユーザー名を変えたことによる、他のソフト等への影響が出る可能性もあるため、安易におすすめはできません。自己責任で対応しましょう。
ゲーム中のセーブだけができない
※3月16日のアップデートで、セーブデータ名を自動で入力するボタン「+」がセーブ名記入欄の右側に追加されたため、下記の対応は不要になりました。念のため、発売日段階の情報として記載しておきます。
キャンペーン等の結果は保存されるのに、ゲーム中のセーブだけができない場合は、日本語入力を行ってしまっている可能性があります。
日本語入力でない状態でゲームをスタートし、英語でセーブデータ名を決めれば問題がなくなります。
セーブデータ名を入れる段階で日本語と英語の切り替えボタンを押すと、その後、再度押しなおしても入力されなくなりますので注意が必要です。
私が体験したのは上述の症状です。
また、事前にドキュメントファイル内の「Stronghold Warlords」→「Saved Games」内に、空のファイルでいいので適当にセーブデータ名を決めて拡張子を変えて複数用意しておくことで、その名称のセーブデータに上書きする形でセーブをすることが可能になります。その際の拡張子は「.sgd」。何も書いていないテキストファイルを作って、拡張子を変えてファイル数を増やしましょう。
<例>
savedata1.sgd
savedata2.sgd
savedata3.sgd
セーブの際「savedata1」を選んでから上書きセーブ。
steam上の他国の評価レビューを眺める
steamでは多くの国の評価レビューが載っています。興味深いものを取り上げます。
中国ユーザーによる翻訳問題
中国のユーザーが中国語の翻訳のおかしさを指摘していました。
単なる翻訳のミスなのか、中国市場という特殊な環境における意図した翻訳なのかはわかりません。
その人の指摘では、秦に関してやベトナムに関してでした。ともに中国が絡む人物なため、いろいろな制約の上での翻訳だった可能性はありそうです。
日本の場合は、翻訳面はまともに感じます。一部、正しいのかどうか不明な翻訳がありましたが。(秦の始皇帝の名称など)
違和感ある声優、訛りが・・・
このゲームに限らず海外のレビューを見ていると発音に対して不平を述べている人を見かけます。
たぶんですが、開発会社がイギリスなので、イギリスの発音に対して他の国の人が述べているのだと思います。
また、声優に対する違和感を述べている人がいましたが、この点は日本は魅力的に感じます。少なくとも君主はいずれも魅力的な声ですし、他のユニット等の声は意図して変にしゃべっているもの以外はいい感じです。
昔のほうが・・・
過去作との比較のレビューも多めでした。
今回の評価レビューでも述べましたが、自らの城塞を築くよりかは攻めることが多く、また城塞を築ける範囲が狭いため、大きな拠点を作ることができないことが要因と思われます。
この辺りは今後のマップ追加等に期待したいところです。
この他、昔は「堀」があったのに、というレビューも散見。
終わりに
発売日からプレイし始め、20時間くらいでの評価は以上です。
今後のアップデートでどう変わっていくのかなどには注目したいところ。
とはいえ、日本語に絡む問題はたぶん解決されない可能性が高いとみているので、その点はあまり期待せずにいたいところ。よほど日本で売れたとかならば話は別でしょうが。
今回はありがたくも日本語が収録されていたことから、過去作も含めてプレイをしてきましたが、個人的には一気に遊ぶくらいに楽しめました。
いささかのおかしな点も、なんとか自己理解によって解決。
この開発会社「FireFly Studios」は規模が大きくなく、インディーゲームに該当するものなので、あまり過度に求めるのも厳しいのでしょう。
開発人員も10名ほどとのこと。
20年も続くシリーズなので、意外ではあります。
発売日にスペシャルエディションを買おうとしてsteamでの決済が通らず、買うのやめようかとも思いましたが、プレイしてよかったと思っています。
特に、豊臣秀吉のセリフが魅力的で、日本で描かれる秀吉像とのギャップがまた違た印象を受けました。日本だと「サル」に引っ張られた描き方が一般的ですので。
ゲーム内容を知りたい方は、YouTubeで動画を上げていますので、そちらでご確認を。